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盛岡市先人記念館で新渡戸稲造の遺品展 生誕160年に合わせて

母・せきから届いた書簡をまとめた巻物。命日には書簡を開いて母をしのんでいたという

母・せきから届いた書簡をまとめた巻物。命日には書簡を開いて母をしのんでいたという

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 盛岡市先人記念館(盛岡市本宮)で現在、新渡戸稲造の遺品展が開かれている。

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 新渡戸稲造は1862年8月8日(新暦9月1日)に生まれ、今年で生誕160年を迎える。それにちなみ、誕生日に近いこの時期に展示を企画。1階の季節展示コーナー・油絵コーナーに「武士道」や「世渡りの道」をはじめとする著書や、トランクやステッキといった遺品などを展示している。

 2020年にも、盛岡市とカナダ・ビクトリア市の姉妹都市提携35周年に合わせ、新渡戸がビクトリア市で亡くなったことや、同市でも顕彰活動が行われていることから遺品展を開催。今回の展示ではその際に展示しなかったものを含め、常設展などでもここ数年展示していなかった資料を中心に紹介する。

 新渡戸による直筆の書の複製も展示。本人が好んだというドイツの詩人ゲーテの言葉「Haste not, Rest not(急がず、休まず)」を書いたものの隣には、教え子の森本厚吉へ贈った「Haste not, Rest more(急がないで、もっと休め)」という書が並ぶ。新渡戸が森本の家族に代わって贈った言葉だという。「教え子への気遣いや、自分の好きな言葉を少し変えるユーモアなセンスが感じられる」と学芸員の中浜聖美さん。「新渡戸さんというと、立派で少し堅苦しさのある人といったイメージもあるが、人との交流の様子を見ると柔らかく親しみやすい部分も見えてくる。本当の意味で人格者だったんだなと思う」とも。

 このほか、新渡戸が札幌農学校へ通っていた時代に母・せきから届いた書簡13通をまとめた巻物も展示。書簡には新渡戸へ向けて「勉強に励むように」といった内容が書かれている。新渡戸は母の命日など年に1回は巻物を広げて読み、母をしのんだと伝わっている。

 中浜さんは「新渡戸さんの著書には現代語されて今も読まれているものがたくさんある。その中から私たちが学ぶべきことも多いのでは。この遺品展をきっかけに常設展も見てもらい、どんな人だったのか理解を深めてもらいたい」と呼びかける。

 開館時間は9時~17時(入館は16時30分まで)。入館料は一般=300円、高校生=200円、小・中学生=100円。9月4日まで。

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