「ワインショップ・アッカトーネ539」（盛岡市紺屋町）が7月7日、オープンした。

世界中のワインがずらりと並ぶショップスペース

　同店のオーナー・松田宰さんは「ワインバー・アッカトーネ」を27年間営んできた。松田さんはコロナ禍をきっかけにワインの販売免許を取得。1年間販売を行ったところ、予想以上に需要があったという。それをきっかけに新たな挑戦としてワインショップを開くことを決意。5月にワインバーを閉店した。

　ワインショップの場所は、雑貨店「森九商店」として使われている建物の一角。200年以上前に建てられ、一部は市の景観重要建造物「茣蓙九（ござく）」となっている。店舗は倉庫として使われていた部分を改修。人の出入りも少なく、建物の傷みも激しかったが、店舗として活用することで歴史ある建物の維持につなげた。

　「自分が紺屋町に住んでいることもあって、この建物のことを気にしていた」と松田さん。「これまで暗かった建物に明かりがともったというのは本当に素晴らしいこと。地域に愛着を持つ人も多いので、たくさんの人が温かく見守ってくれているなと感じている」と話す。

　店舗は手前がショップスペース、奥がイートインスペース。取り扱うのは岩手県産を含む、国内外のワイン約200種。松田さんの出身地・遠野のものを集めたスペースも設けている。イートインスペースでは、ショップで購入したワインを味わう「角打ち」が楽しめるほか、松田さんが選ぶワインを中心に、アルコール、ノンアルコールドリンク、おつまみなどを提供する。

　7月15日まで、ワインをより良い環境で管理し、建物を維持するための設備投資に向けてクラウドファンディングで支援を募っている。支援は一口3,000円からで、ワインやオリジナルグラスなどの返礼品を用意する。

　「ワインは生き物。少し環境が変わると、品質も変わる。建物も同じように思う」と松田さん。「『ゆっくり行くものは遠くまで行く』というイタリアのことわざがある。ワインと共に店も熟成していきたい。ゆっくりと時間をかけてこの街に根付き、滞ることなく、長く続けていきたい」と意気込む。

　営業時間は火曜～木曜＝14時～21時、金曜＝14時～23時、土曜・日曜＝12時～23時。月曜定休。