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盛岡の豚汁専門店が事業承継 豚汁の味と優しさ引き継いで

前店主の大村さん(左)と事業を引き継いだ舘石さん(右)。店の優しさをそのまま守り続ける

前店主の大村さん(左)と事業を引き継いだ舘石さん(右)。店の優しさをそのまま守り続ける

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 盛岡市内で学習塾を運営する「We are the Best」が7月1日、後継者不在により事業継続が困難となった豚汁専門店「とんfe(とんふぇ) 麦多朗(むぎたろう)」(盛岡市南大通1)の事業を引き継いだ。

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 同店は2019年11月に開店。店主の大村茂さんは会社員として働いた後、移り住んだ盛岡で店を開いた。提供する豚汁は、大村さんが会社員時代に出合った豚汁の味を再現したもの。大量のタマネギに「もりおかあじわい林檎(りんご)ポーク」などの地元食材を加えた独自のレシピとなっている。豚肉のうまみとタマネギやみその甘みが溶け合った豚汁は人気を集めている。

 大村さんは現在75歳。腰の痛みや体調不良が続き、ランチ営業のみに切り替えたり、定休日を増やしたりなど、体を休めながら営業を続けてきた。「立って調理するのが難しくなり、豚汁に使うたくさんのタマネギを切る作業は特に負担になっていた」と大村さん。どうにか店を続けようと後継者探しなどを支援する「岩手県事業承継・引継ぎ支援センター」(以下、引継ぎ支援センター)へ相談した。

 そこで引継ぎ先としてマッチングしたのが、事業多角化を模索していた「We are the Best」だった。代表の舘石宗利さんは「岩手県内でも後継者不足で営業をやめてしまう店が増えていることを知り、事業承継に興味を持って引継ぎ支援センターに登録していた。学習塾と飲食店はジャンルが違うが、対面でサービスする点では同じ」と話す。「何よりも豚汁を食べておいしいと感じたことから、事業を引き継ごうという思いが始まった」とも。

 事業の引き継ぎは、岩手県内の6つの信用金庫と、引継ぎ支援センター、日本政策金融公庫盛岡支店・一関支店が連携して事業承継サポートを行う「つぐべ岩手」を活用。6月中旬から引き継ぎ作業を進めてきた。豚汁などレシピの引き継ぎはほぼ終了。7月中旬ごろまで大村さんも体調を見ながら店頭に立ち、現在は利用客への対応などを指導している。

 今後は同店のレシピや営業形態を守りつつ、SNSを通じた発信や販売力の強化を目指す。「塾を利用している子どもたちや保護者の皆さんの食事の支援にもつなげられないかと考えている」と舘石さん。「新規オープンとは違い、すでに固定のお客さんが付いている。皆さんを裏切らず、この店と豚汁が持つ優しさを守り、もっと多くの人に知ってもらいたい」と意気込む。大村さんは「舘石さんたちとの出会いは奇跡的だと感じている。常連客の皆さんはさみしがってくれるが、舘石さんの思いがあれば、きっと店も良い方向に行く。これからのことを楽しみに見守り、応援する」と話す。

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