災害支援や伝承活動を行うNPO法人「RAY of HOPE」などが現在、「平和の火」を通して戦争と平和について考える「僕らの#NOWAR桜灯(さくらび)アクション」に取り組んでいる。
福岡県八女市星野村で採火した「平和の火」は、同村出身の山本達夫さんが、原爆投下直後の広島の焼け跡から持ち帰った「原爆の残り火」。当初は多くの命を奪った「恨みの火」として保存されていたが、その後「平和を願う供養の火」として星野村が引き継ぎ、現在まで絶えることなく燃え続けている。
同法人が運営に関わる東日本大震災の犠牲者に思いを寄せる企画「100万人の線香花火ナイト」では今年、戦争で亡くなった命にも思いを寄せようと、「平和の火」を岩手を含めた全国数カ所に運び、線香花火に点火するイベントを実施。終了後に採火した平和の火を消すことになっていた。
「考えを巡らせるうちに火が消せなくなってしまった」と火を運んだ魚山宏さん。「広島から火を持ち帰った山本さんや、火を引き継いだ星野村の皆さんの思いが本当に伝わったのかなという不安があった。線香花火ナイトは震災をきっかけに命を考える企画。もう少し戦争や平和について考えるアナウンスをしたいと思った」と話す。
「RAY of HOPE」と「100万人の線香花火ナイト」の実行委員会は、SNSやイベントを通じて情報発信する「僕らの#NOWAR桜灯アクション」を4月1日から始めた。「僕らの」には誰でも参加できること、「桜灯」には桜前線のように日本中へ平和の思いが広まってほしいという意味を込めた。
同アクションでは期間中、ハッシュタグ「#戦争の火を消して平和の火を灯そう」を使って情報発信を行い、ろうそくなどの火を撮影した写真の投稿も呼びかけている。4月24日には平和の火を使ってろうそくに火をともす「キャンドルナイト」を実施。盛岡市内の「SoRa cafe feat.waffle cafe Sign」など平和の火を届けた地域での会場を使ったリアル開催と、ビデオ会議システムを使ったオンライン開催を予定している。
魚山さんは自身が管理している平和の火の様子を「ユーチューブ」を通じてライブ配信しているほか、キャンドルナイトの会場「SoRa cafe feat.waffle cafe Sign」へも毎日点火をするために通っている。「高齢化などの影響もあって、戦争や原爆について聞き、語ることの難しさは年々増している。だからこそ、私たちが伝えていく必要があるのではないかと思う。火があることで考えるきっかけになっている。このアクションを終える時に、今度こそ私が持ち帰った平和の火は消す。それと一緒に、戦争の火が消えることを強く祈っている」と話す。
4月30日まで。