もりおか歴史文化館(盛岡市内丸)が2月23日、同館の常設展示資料や施設案内などをまとめた図録「常設展示ガイド」の内容を新たにして発売した。
「初代」の常設展示ガイドは、同館が開館した翌年2012(平成24)年に発行。昨年開館10周年を迎えたことから、2021年度版として2代目の常設展示ガイドを発行した。
初代常設展示ガイドは同館の開館に合わせて制作されたため、学芸員はほとんど編集に関わっていなかったという。2代目常設展示ガイドの制作背景には、10年が経過し、学芸員の知識の蓄積や伝えたいことが明確になってきたこと、来館者が知りたい内容への理解が深まったことなどの理由もある。
新しい常設展示ガイドは、同館の歴史文化ゾーンと観光交流ゾーンにある常設展示資料をほぼ網羅して紹介するほか、建物や館内の案内、利用案内などを盛り込む。大きさは初代のB5判からA4判へ拡大。10年の間に撮影した新しい写真や開館当時に撮影した写真も使い、見やすさを意識して配置した。学芸員によるコラムも収録し、常設展示の内容と同館の魅力を一冊に詰め込む。
主任学芸員の太田悌子さんが「ぜひ見てほしい」と挙げる新要素が、歴代盛岡藩主全員の肖像画を使った「盛岡藩主南部家の系図」。太田さんは「藩主全員の顔が分かる資料がそろっているのは、実は珍しいケース。歴史文化館には貴重な資料があるぞ、ということが伝わるとうれしい」と話す。
来館者は修学旅行生やツアー客など、見学時間が限られている人も多い。展示内容の予習や復習にも役立てられるよう、展示室を順に追いながら、純粋に資料を網羅し、シンプルな内容にした。今後は子ども向けの内容や英語を使ったものなどへ発展させていく考えもあるという。
新型コロナ禍の中での情報発信に常設展示ガイドを役立てたい思いがある。同館では動画を使った展示解説を実施するなど、来館できない状況でも楽しめる工夫を続けてきた。太田さんは「コロナ禍で考える時間があり、たくさん試行錯誤ができたのは幸運だった。歴文館まで行けないと思ったら、常設展示ガイドを取り寄せて皆さんの手元に歴文館を置いてもらえたら」と呼び掛ける。
A4判、80ページ。価格は1,500円。同館ミュージアムショップとオンラインミュージアムショップで取り扱う。