トピック展「寅(とら)・虎・とら」が現在、岩手県立博物館(盛岡市上田)で行われている。
今年の干支(えと)「寅」にちなみ、同館収蔵品の中からトラにまつわる資料を展示する。これまでもその年の干支にちなんだ資料が複数ある場合、こういった展示を企画してきたという。普段はなかなか展示機会が少ない資料が並ぶのも特徴で、同館学芸員らがそれぞれ担当する分野からトラにまつわる資料を探した。
展示が行われているのは、館内のグランドホール・ミニプラザ・古美術展示室の3カ所。グランドホールにはトラの剥製や全身骨格、岩手の沿岸部に伝わる虎舞(とらまい)の衣装が並ぶ。今回初展示となるトラの剥製は市内の米内小学校から寄贈されたもので、その際にも「寅年の時に展示する」と話していたという。体長は約2メートルで迫力もあるが、正面から見るとかわいらしい顔がチャームポイント。
同館で生物部門を担当する学芸員は「剥製を見ると、トラは体高が意外と低く、足も短めでがっしりした体付きなのが分かる。これは物陰に身を隠して獲物に忍び寄るためだと考えられる。骨格を見るときには、足の爪が出し入れできる仕組みにも注目してほしい。トラってネコ科の動物なんだなと感じられると思う」と話す。
同じくグランドホールでは、名前に「トラ」が付く生き物についても紹介。トラツグミやトラフズクといった鳥の剥製、英語で「タイガービートル」と呼ばれるハンミョウやトラフアゲハなどの虫の標本、植物の写真などが並ぶ。ミニプラザでは「盛岡城でトラが飼われていた」という伝承にまつわる書物のほか、トラの絵が入った南部鉄器や刀のつば、トラの魂が石になったという言い伝えもある「琥珀(こはく)」も紹介する。古美術展示室では、南部藩を代表する絵師・川口月嶺(げつれい)が描いたトラの掛け軸など絵画としてのトラを展示する。
「今回展示している資料は展示する場面が少ないものが多い。次展示されるのは12年後、次の寅年かもしれない」と担当者。「盛岡城のトラの話や沿岸部に伝わる虎舞を始めとして、岩手はトラに関する話題が多い。トラは昔から縁起がいい生き物として親しまれている。さまざまな資料から見るトラを楽しんで」と呼び掛ける。
開館時間は9時30分~16時30分(入館は16時まで)。入館料は一般=310円、学生=140円、高校生以下無料。月曜休館。2月6日まで。