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ロックンロールでクマ被害を啓発 岩手県秋のクマ被害防止キャンペーンで

「ツキノワグマのRock'n'Roll」のCDを持つ田口さん

「ツキノワグマのRock'n'Roll」のCDを持つ田口さん

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 盛岡在住のシンガーソングライター・田口友善さんが歌う「ツキノワグマのRock'n'Roll」が、岩手県による2021年度秋のクマ被害キャンペーンのキャンペーンソングとなり、話題となっている。

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 秋は登山やキノコ採りなどで山へ入る機会が増え、クマと予期せず遭遇してしまう危険性が高くなることから、県では県民に向けてクマによる被害の防止を呼び掛けるキャンペーンを9月から実施。クマに遭遇しないための対策や遭遇したときの対処法をまとめた注意喚起リーフレットを配布するほか、県内の道の駅などでキャンペーンソングを流し注意を呼び掛けている。

 キャンペーンソングの「ツキノワグマのRock'n'Roll」は、クマの怖さや危険性、遭遇した時の対策をロック調のメロディーに乗せて分かりやすく歌い上げる。もともとは同楽曲の作詞作曲を務めた登堂かほるさんの依頼を受けて、半年前に田口さんが歌いCD化していた曲で、曲を聞いた人から「よくできている曲なので、県庁の担当者に聞いてもらってはどうだ」と持ち掛けられ県に相談。その後、「キャンペーンの実施に合わせて活用できないか」と県側から提案を受けた。

 1番の歌詞で「ガオー、ガオー、ガオー ガオー、ガオー、ガオー 突然アンタに 襲いかかる」とクマの恐ろしさを歌い、3番でクマと遭遇した時にはクマの顔から目を離さずに後ずさりする対処法を紹介。「カオ、カオ、カオ カオ、カオ、カオ 顔をそむけず 後ずさりしろ」と歌詞を変えている。

 続く4番では、対処法を知っていても実際に遭遇すると怖くてうまく実践できない状況を、「まともに熊の 顔を見ること 出来るもんか」「俺様だって 怖くてできない」と歌い、「ニャオ、ニャオ、ニャオ ニャオ、ニャオ、ニャオ いつの間にやら 借りてきた猫」とユニークに表現している。

 当初はブルース調の曲だったが、田口さんが歌う際にロックの色を強め、アップテンポにすることでクマの怖さも表現しているという。田口さんは「メロディーも歌詞もよくできていて、ユニークなオチもある。単なるクマ被害の啓発ではなくて、笑えて面白く、分かりやすくて覚えやすい曲になっている」と話す。

 ユニークなキャンペーンソングには日本国内外から注目が集まり、田口さんは海外メディアからも取材を受けたという。「ロックで何かを啓発するのは世界的にも珍しい」という声も届いた。

 県によると今年4月1日から10月11日まで、ツキノワグマによる人身被害は14件14人発生。出没件数は9月末までで2393件となっている。曲の中では山の中がクマの大事な縄張りであり「立ち入る奴らは 許さねえ」と歌う。田口さんは「今年は県内でのクマ被害が多い。曲を聞いて気を付けてもらいたいという気持ちを込めて歌った。山の中へ行くというのは、私たち自身がクマの領域に入ることである、というのを改めて分かってほしい」と呼び掛ける。

 キャンペーンは10月31日まで。期間中は県のホームページで楽曲やリーフレットをダウンロードできる。「ツキノワグマのRock'n'Roll」が収録されたCDは「もりおか町家物語館」(鉈屋町)でも販売。価格は1,000円。

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