盛岡市の肴町商店街アーケード「ホットラインサカナチョウ」内に4月23日、誰でも自由に演奏することができる「ストリートピアノ」が設置された。
同ピアノは「カガヤ」と「マルミツ土地」の2社が、商店街と河南地区の活性化やにぎわいにつなげようと寄贈。盛岡市内では初の「街ピアノ」となる。北日本銀行肴町支店前に設置され、雨風などを防ぐためにガラスの壁に囲われているが、演奏者は自由に中に入ってピアノを弾くことができる。
以前から商店街内にストリートピアノを設置するアイデアはあった一方、ピアノはデリケートな楽器のため屋外に置いたままにすることは難しく維持管理が難しいことや、ピアノを購入するための費用面などのハードルが高く、「あったらいいな」という考えで止まっていたという。そこで今回はピアノを守る壁を作った状態での寄贈となった。気温が下がる冬場の管理や、毎月の調律といったメンテナンスは、同商店街振興組合の会員店で楽器部門がある「東山堂」が協力する。
23日には贈呈式とオープニングセレモニーが行われ、寄贈した2社に商店街から感謝状を贈呈したほか、ジャズピアニスト・馬場葉子さんの演奏が披露された。設置した翌日以降からは自由に演奏を楽しむ人の姿もあり、商店街の利用者らが足を止めて演奏に聞き入る様子も見られ、地域住民からも歓迎されている。
ピアノは四方を壁に囲われているが天井はなく、遠くまで音が響く。雨など天候によってピアノに影響が出る場合は利用を中止し、天井にはシートをかけて対応する。換気もよく、手指の消毒液を設置したり、マスクの着用を呼び掛ける表示をしたりと感染症対策も行う。ピアノの前には使用時のルールを説明する看板を立て、SNSなどへの動画投稿も他の利用者の映り込みや、周囲の迷惑のならないように配慮した上で可能だという。
肴町周辺は盛岡バスセンターの新設や、2023年に開業予定の新たな商業施設「monaka(もなか)」などの話題があり、ストリートピアノの設置にも街を盛り上げてほしいと思いが込められている。今後はピアノの愛称も募集する予定。
同商店街振興組合の担当者は「今回のストリートピアノの設置を通じて感じたのは、肴町が皆さんに支えられている商店街だということ。ピアノを寄贈してもらえたこと、そして演奏してくれる人がいて、それを商店街の人が聞き、歓迎してくれていること。どれをとってもありがたい環境がある。うれしく思うとともに、街のにぎわい創出の一助になることを心から願う」と話す。
ピアノは毎日10時~17時に利用可能。