盛岡市肴町商店街振興組合青年部(4S会)は3月20日、肴町オリジナルエコバッグ「SORT(ソート)」を期間限定で発売する。
オリジナルエコバッグのアイデアが生まれたきっかけは、2020年7月に始まったレジ袋の有料化。会計時に「レジ袋がいるか、いらないか」のやり取りが必要となり、店舗側にも客側にも手間が増え、わずらわしさを感じる人も少なくない。この状況を楽しく解決する方法として、オリジナルエコバッグの制作が提案されていた。
加えて、昨年から続くコロナ禍の影響もある。商店街で開催を予定していたイベントは感染症対策や感染拡大防止の観点から中止。利用客らとの触れ合いが減り、地域に根差した商店街として利用客と気持ちを共有したいという思いがあった。そこで、オリジナルエコバッグを話題づくりの一つとしようと昨年9月ごろから本格的な準備を始めた。
エコバッグを作るに当たり、重要視したのがデザイン。クオリティーが高く、「肴町」らしさが感じられ、いくつかのデザインから選べるものをと考える中で、県内のデザイナーやクリエーターらが個人の資格で参加・運営する非営利の会員組織「岩手アートディレクターズクラブ(岩手ADC)」へ相談したところ、会員9人が参加することとなった。肴町商店街とデザイナーが関わり事業実施するのは、1983(昭和58)年の肴町アーケード完成を記念して中村誠さんが作成した「風車マーク」とロゴタイプ以来となる。
完成したエコバッグのデザインは全16種類。肴町商店街の景色を描いたイラストやアーケードの屋根をイメージした図柄のほか、デザイナーがそれぞれ持つ「肴町のイメージ」を表現したものなど多種多様なデザインそろう。全てのデザインとデザイナーはリーフレットで紹介。デザイナーらの連絡先やホームページなども掲載している。
参加デザイナーの山内稜平さんは「普段は仕事として受ける場合、名前が表に出ることはなかなかない。地域の活動に参加することで、市民の皆さんのより身近な存在になれたらと思う。自分が作ったデザインを持って歩いている姿を見るのが楽しみ」、佐藤未南子さんは「愛着のある商店街のプロジェクトで、真っ先に参加表明した。個性豊かなエコバッグで買い物を楽しんでもらいたい」と話す。
バッグは商店街内の文具店「平金商店パステル館」のテクニカル工房で作製。注文を受けてからコットン生地製のトートバッグにデザインを印刷する。トートバッグは商店街内で衣料品を扱う「4S会」メンバーがチェックし、丈夫で使いやすく、大きさが十分あるものを選んだ。
SORTという名前は、「Sakanacho original reusable tote bag」の略称。「reusable」には再利用可能なという意味があるほか、「SORT」には分類するという意味があり、「問題を解決する」といった表現にも使われる。
「4S会」の担当者は「地元のデザイナーの皆さんを知ってほしい、こんな状況でも何かしようと頑張る商店街を知ってほしい、そんな思いを込めた。肴町商店街は誰がいても良い場所。デザインの豊富さ、表現の幅にもそれが表れていると思う。お気に入りの一枚を見つけて」と呼び掛ける。
大きさは400ミリ×360ミリ×120ミリ。価格は1,650円。注文は「平金商店パステル館」と同店のオンラインショップで受け付ける。注文後3日前後で完成し、店頭で受け渡す。販売は6月20日まで。