ちゃんこ料理店「ちゃんこ太五郎」(盛岡市中央通3)は現在、生産者や納入業者などの支援にもつなげる「岩手まるごとちゃんこ家鍋」を届けるクラウドファンディングに挑戦している。
元力士の菅原晴広さんが店主を務め、自慢のちゃんこ鍋などを提供する同店。新型コロナウイルス感染症の影響を受け、売り上げや利用客の減少が昨年から続いているという。その状況下で、看板メニューの「ちゃんこ鍋」を家庭で楽しんでもらおうと、スープや具材をセットにした「家鍋」の持ち帰りや通販での全国発送を続けてきた。
今回のクラウドファンディングは、県内の野菜農家や畜産農家、納入業者の支援につなげたい思いでプロジェクトを立ち上げたという。菅原さんは「私たち飲食店はもちろんだが、県内の生産者の皆さんや、納入業者の皆さんも同じように大変な、かつてない危機に直面している。鍋がおいしい季節だからこそ、何かできないだろうかと考えたのが『家鍋』を通じた支援だった」と話す。
クラウドファンディングは、目標金額にかかわらず集まった金額が全て寄付されるAll-In方式。支援者の返礼品として、同店のオリジナルちゃんこ鍋「岩手まるごとちゃんこ」をベースにした「岩手まるごとちゃんこ家鍋」と「『岩手まるごとちゃんこ家鍋』プレミアム」のどちらかを届ける。
「岩手まるごとちゃんこ家鍋」は、みそ味の特製スープに、岩手県の銘柄鶏「阿部鶏」を使ったつくねや、盛岡のブランドポーク「もりおかあじわい林檎(りんご)ポーク」、県産の野菜、岩手の郷土料理「ひっつみ」といった具材が入る。スープには陸前高田市の「八木澤商店の」みそと醤油を使用し、具材から調味料まで「オール岩手」で仕上げた。全国のちゃんこ鍋店が日本一を競う「ちゃんこ-1グランプリ2016」では初代横綱に認定されている。
「『岩手まるごとちゃんこ家鍋』プレミアム」は、今回のクラウドファンディングの返礼品として用意した限定の鍋。「岩手まるごとちゃんこ家鍋」に、岩泉町産のマツタケや三陸産活アワビを使用した特製つくねをプラスしている。マツタケやアワビを使ったつくねのアイデアは他のスタッフにも驚かれたというが、「自分でもどうなるのかと思ったが、試食してみると予想よりも上品な味わいになってとてもおいしい」と菅原さん。県産食材にこだわりつつ、普段はなかなか食べることができないちゃんこ鍋となった。
クラウドファンディングは初めての挑戦で、支援者からも温かい励ましの声が届く。県外からの支援者の中でも、ちゃんこ好きや相撲好きが多い。詳細は未定だが、支援金の一部を県内で相撲をする子どもたちの支援に活用する考えもある。
菅原さんは「初めてのことで手探りではあるが、支援者の皆さんにさまざま教わりながら進めてきた。私たちもコロナ禍に負けないという気持ちでいるが、皆さんも岩手の食材をたっぷり使ったちゃんこ鍋を食べて、負けずに頑張ってほしい」と呼び掛ける。
クラウドファンディングの締め切りは2月27日まで。