岩手県による首都圏の人材と地元企業・団体とを結び付ける取り組み「遠恋複業課」が10月28日、オンライン上で人材募集イベントを行う。
「遠恋複業課」は、県外にいながら岩手県との関わりを持つ「関係人口」の拡大を目的に、2018(平成30)年度にスタート。岩手から離れた場所に暮らしているが、スキルを生かして岩手で副業をしたいという人材と、人材を必要としている県内企業・団体などの関係が、「遠距離恋愛」に似ていることから、「遠恋複業」と名付けた。「複業」という表現は、本業として複数の仕事を行うことを指し、マッチングによって関わった仕事を本業と同じ次元で捉えてほしいという参加者への思いを込めている。
「遠恋複業課」は「遠恋複業」を推進するために、県地域振興室内に設置されたバーチャル組織で、首都圏や県内で事業をPRし、首都圏での複業希望人材の発掘、人材を受け入れる県内企業・団体とのマッチングを行っている。昨年度は、東京都内でのオリエンテーリングや企業紹介と言った「事前講座」を行ったほか、岩手での「現地フィールドワーク」を実施。その後、複業希望者が自分のスキルや経験をどのように生かせるかを提案した「ラブレター」にまとめてマッチングを行い、その結果22件が成立した。
複業希望者や参加する県内企業・団体からも前向きな意見が多く集まっているという。参加者からは「経営者と肩の力を抜いて交流できる機会で貴重」「1つの企業では得られない経験ができる。本業と複業、それぞれに良い影響を与えられる働き方をしたい」という声、企業・団体からも「都内に営業所や社員を置くのは負担が大きいため、都内で働いている方に力を借りることで良い成果が期待できる」という声がある。
本年度は新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、対面でのセミナーやマッチングをリモートに切り替えて実施。10月28日と11月5日には県外在住者を対象としたオンラインでの複業希望者募集セミナーを開催し、オリエンテーションや現役の複業実践者によるトークセッションを行う。11月5日にも同様のセミナーを開くほか、11月下旬から来年3月までにオンラインと対面でのマッチングイベントも予定している。
県地域振興室の担当者は「本年度は感染症対策を講じながら、取り組みを継続している。遠恋複業課が目指すのは、遠距離恋愛に見立てた複業人口・関係人口の拡大。今の環境を大事にしながら、岩手を好きになってもらいたい。興味を持たれた方は『遠恋複業課』で検索してほしい。移動距離や時間の壁を乗り越えて、岩手とのお付き合いを始めて」と呼び掛ける。
10月28日のオンライン複業希望者募集セミナーは事前申し込みが必要。専用フォームで受け付ける。時間は19時~21時。参加無料。