盛岡市は7月29日、新型コロナウイルス感染症対策を踏まえた避難所開設運営訓練を行った。
市では6月に避難所運営に関するマニュアルを改訂。新型コロナウイルス感染症対策を新たに盛り込んだ。感染症対策として各避難所の定員を半分に制限。避難者同士の距離の取り方、パーテーションやテープなどを使ったゾーニングなども必要となる。7月28日に降った大雨の影響により市内に避難所が開設された時も、新しいマニュアルで運営を行ったという。
今回の訓練は発災時の円滑な避難所運営を目的に、担当職員を中心に避難所のレイアウト設定や受付などの訓練を行うもので、「盛岡市立繋小学校体育館」を実施場所とし、市職員と繋小学校教職員、地域住民ら約50人が参加。避難者の中に感染者がいるかもしれないという状況設定の下で進められた。
まず市職員と教職員が訓練概要と避難者の受付の流れについて説明を受け、パーテーションと段ボールベッドの組み立てを行った。冒頭では、東日本大震災当時に避難所でインフルエンザやノロウイルスの集団感染が発生したケースを紹介し、感染症対策の重要性を説明した。避難者の健康チェック、衛生管理、十分な換気とスペースの確保、発熱などの症状がある避難者と一般避難者の動線を分けるといったポイントを伝えた。
訓練では体育館を使い、ステージの上を発熱などの症状がある避難者のスペース、それ以外を一般避難者のスペースとしてレイアウト。受付についても事前受付を設け、体温測定や健康チェックをした後、一般避難者受付と発熱や症状がある避難者の受付にそれぞれ案内する方法とした。
パーテーションは壁が高いものを新たに導入。段ボールベッドも床から舞い上がる埃(ほこり)を介しての感染防止、エコノミークラス症候群対策として導入されたという。発熱などの症状がある避難者用としては屋根のあるテントを設置した。職員らはグループごとにパーテーションとベッドの組み立てを学び、パーテーションの間を2メートル開けて配置した。
訓練の後半では避難者役として地域住民が体育館を訪れ、受付から避難スペースまでの案内を実践。地域住民らも職員らのアドバイスを受けながらパーテーションとベッドの組み立てに挑戦した。参加した住民は「組み立ては考えていたよりも簡単で驚いた。段ボールベッドもしっかりしていて、座りやすく、横になっても安心。感染症対策もきちんとされていると感じた」と話す。
市危機管理防災課の吉田清光課長は「パーテーションや段ボールベッドの組み立ては一度知ると簡単にできるもの。職員はもちろん地域の皆さんにも覚えてもらうことで、円滑な避難所運営につながる。いざという時に役立ててもらうとともに、携行品などの確認も日常的に心掛けて」と呼び掛ける。