盛岡の酒造会社「あさ開」(盛岡市大慈寺)は5月1日、消毒用アルコールの代わりとなる高濃度アルコール製品「あさ開アルコール65%」を発売した。
新型コロナウイルス感染症の影響により、全国的に手指の消毒用アルコールが不足している状況が続いている。厚生労働省では消毒液不足に対応し、特例としてアルコール濃度60%以上の酒類など高濃度アルコール製品を消毒用アルコールの代替品として使用することを認めている。
同社では日本酒の需要が減少する中、「どういう商品を作っていくか」と考えていたという。そこへ新型コロナウイルス感染症の影響で飲食店などでの消費が減る状況が重なった。このような状況下で「今できること」の一つとして、消毒用アルコール不足や全国の酒蔵の動き、厚生労働省の発表を受け、高濃度アルコールの製造を3月にスタートした。
「あさ開アルコール65%」は、純米酒以外の日本酒を造る時に添加する醸造アルコールを薄め、手指の保湿効果も持つ食品添加物「グリセリン」を2%添加。ラベルには、「病がはやったら、自分の姿を写して人々に見せよ」と伝えたとされる妖怪「アマビエ」が描かれている。
同社の担当者は「まずは困っている人の元に届いて、喜んでもらえれば。長い自粛生活が続き、ストレスを抱えながら過ごしている人も多いが、この状況は長く続いていくと思う。日本酒は余暇を楽しむ嗜好(しこう)品。暮らしの中で息抜きとしてお酒も楽しんでもらいたい」と呼び掛ける。
500ミリリットル入りで、希望小売価格は1,430円。県内のスーパーなどで取り扱う。