岩手県立図書館(盛岡市盛岡駅西通1)が現在、スタッフお薦めの本5冊をセットにした貸し出しを行っている。
岩手県立図書館の一般コーナーに設けられた「おすすめ本セット」のコーナー
このアイデアが生まれたきっかけは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止を受け、臨時休校となった子どもたちが図書館を訪れることだった。家で楽しめるようにと図書館へ本を借りに来る子どもたちが増え、児童コーナーの本の貸し出しが普段より多くなっているという。一方、「何を借りればいいか分からない」や「どんな本がありますか」とスタッフに声を掛ける子どもや保護者も多い。
子どもたちに付き添う保護者からは滞在時間をできるだけ短くしたいという様子も見られる。入館者数も普段に比べて少なく、長い時間滞在する利用者も減っているが、ほとんどが本を借りていくという。滞在型から貸し出し型へと利用者の傾向の変化も見られる。
そこで、感染リスクを避けながら読書の楽しみを届けたいという思いから、「テーマを絞ることで、悩まずに本が選べる」「すぐに借りることができ、滞在時間が短く済む」という2つを合わせた、本のセット貸しを考案。3月8日にスタートした。スタッフそれぞれがテーマを設定し、それに沿ったお薦め本5冊を選んで袋に入れ、児童コーナーと一般コーナーに展示。場所も各コーナーの入り口付近で、長期滞在せずに借りられるように工夫している。
テーマはさまざまで、子ども向けの児童コーナーには「声をだして読んでみよう」「ダジャレを言うのはだれじゃ!?」「たまご・卵・タマゴ」といったユニークなもの、中高生から一般を対象にした一般コーナーでは「おじさまエッセイ」「古典芸能への誘い」「北欧ミステリー」といったテーマが並ぶ。本も小説や絵本などの読み物のほか、エッセー、伝記など幅広い。
袋の口はあえて閉じず、中身が見えるような状態で並べた。5冊という冊数も、同館の最大貸出冊数15冊に合わせ、ほかの本と組み合わせやすいように設定。借りていく人も増えているという。併せて、児童コーナーでは長編シリーズを集めたコーナーも展開。シリーズの途中からでも楽しめ、じっくり読める本を選んでいる。
同館ホームページでは、休校中の児童・生徒に向け、家での勉強や生活に役立ち、楽しめるお薦めサイトや、新型コロナウイルス感染症に関する情報リンク集を掲載している。
同館の担当者は「図書館で働くスタッフはみんな本好き。皆さんに読んでもらいたい、お薦めしたい本やテーマがどんどん湧き出ている。面白いものを発信しようと、お薦め本セットをスタートした。この機会にじっくり読書を楽しんで」と呼び掛ける。
開館時間は9時~20時。毎月末日休館。3月は蔵書点検のため25日~31日休館。