「盛岡てがみ館」(盛岡市中ノ橋通1)で現在、第60回企画展「郵便の歴史 前島密没後100年記念」が行われている。
「近代郵便制度の父」とも呼ばれる前島密の没後100年を迎えることに合わせて企画された同展。前島が1871(明治4)年に発足させた近代郵便制度について、郵便事業の歴史や移り変わりを126点の資料と共に紹介する。
展示は前島の業績を紹介する資料やパネル開設、年表などからスタートし、ポストや郵便はがきの変化、絵葉書ブームなど、過去の郵便事業や現代への移り変わりについて取り上げる。はがきのコーナーでは年代ごとのはがきが並ぶ。郵便はがきが登場したのは1873(明治6)年で、当時は厚手の紙を用意できなかったため、2つ折りで強度を持たせていた。印刷原版を手彫りしていたことから「手彫りはがき」と呼ばれている。現在のような厚紙を使ったカード型のはがきが登場したのは1875(明治8)年、関東大震災や戦争の影響を受けて大きさや紙の質が変わったはがきも並ぶ。
担当学芸員の佐々木章行さんは「年賀状の準備を始める時期。はがきが登場した頃から、年賀の挨拶をはがきで送る人が増えたので、今のような特別取扱制度がある。普段は身近な郵便という制度について改めて振り返ってもらいたい」と話す。
展示後半では、盛岡や岩手での郵便事業について取り上げ、現在の「盛岡中央郵便局」の移り変わりや、郵便事業を管轄する「逓信(ていしん)省」の大臣を務めた原敬や後藤新平の紹介、岩手を題材にした切手や風景印などの資料が並ぶ。
佐々木さんは「明治時代にスタートし、私たちの生活を支えてくれた郵便制度について、断片的ではあるが、歴史が分かるように工夫した。冬休みの自由研究にも良いテーマだと思う。郵便に親しんでもらいたい」と話す。
開館時間は9時~18時(入館は17時30分まで)。入館料は、一般=200円、高校生=100円、中学生以下と市内在住の65歳以上は無料。毎月第2火曜と年末年始(12月29日~1月3日)休館。来年2月3日まで。