矢巾町は現在、子どもたちに新しい楽器を贈るための寄付を募っている。
矢巾町は2016(平成28)年に「音楽のまち やはば」を宣言し、町民が音楽に親しみ、その活動に愛着と誇りを持てるまちづくりを目指している。町内の小中学校では鼓笛隊や吹奏楽部に所属して活動に励む児童・生徒も多いが、移動費や楽器の運搬費・メンテナンス費が膨大に発生しているほか、何よりも新しく楽器を購入する資金が不足している状況だという。
「音楽のまち」としての取り組みが盛り上がる中、子どもたちが演奏を披露する機会も増え、技術も上達し、大会で入賞する実力も付けている。その一方、使用している楽器は何十年も同じものを使い、新規購入には手が回らない。修理に出しても、「修理不能」で返却されることも。
現在は大会に出場する高学年が使い、古い楽器は入部したてのメンバーが使っている。新しいものと古いものでは音の出方や音色も違ってくるため、古い楽器に慣れてしまうと高学年になった時の演奏に支障も出てくるという。
町企画財政課未来戦略室の川村奈津美さんは、事前に子どもたちを取材。川村さんは「ちょうど夏休みの時期で、水泳大会の練習など他のことと掛け持ちしながら吹奏楽部の活動に参加している子もいた。みんな一生懸命」と話す。「話を聞いていると『後輩たちの楽器を新しくしたい』という子どもたちの声が集まってきた。希望の楽器が足りなくて、仕方なく他のパートを担当している子もいる。最初からみんな新しい楽器で練習できれば、演奏の質も変わってくると思う」とも。
今回は、ふるさと納税の仕組みを活用し、寄付金の使途に応じた事業を立ち上げて寄付を募る「さとふるクラウドファンディング」を利用。目標金額は500万円で、集まった金額はそれぞれの学校へ必要な分だけ渡り、楽器の購入費に充てるほか、リードやクロスなどの消耗品費、大会時の移動費や楽器運搬費などに充てる。
寄付額に応じた返礼品としては、矢巾町産のリンゴとニンジンを使ったジュースのセットや、県産の地酒など、ふるさと納税でも人気の返礼品を用意する。クラウドファンディングの支援者限定で「煙山小学校吹奏楽部」で活動する子どもたちからのお礼のメッセージと、12月に開催予定の「メモリアルコンサート」への招待も予定している。
川村さんは「『音楽のまち』を宣言してから、子どもたちが本当に頑張ってくれている。演奏の活動を通して将来を考えるきっかけになってほしい、大人になっても演奏を続けてほしいという思いもある。子どもたちのために支援をお願いしたい」と呼び掛ける。
受付期間は来年1月21日まで。