盛岡市は現在、市内西見前の市道で「可搬式ハンプ(凸部)」を活用し、道路に段差を付けて自動車の走行速度を抑制する実証実験を行っている。
実験が行われている「市道高櫓線」は、もともと道路脇に水路があり道幅が狭い一方で国道4号線につながる生活道路として交通量が多いという。周辺には「見前小学校」もあり児童の通学路としても使われ、車の最高速度を30キロに規制する「ゾーン30」に指定されているが、速度超過と思われる車両も少なくない。
水路の改修に合わせて道路の拡幅事業を行ってきたが、道路の幅が広くなることによって、速度超過する通行車両が増えたという。そこで、地元代表者や学校関係者と「通学路の緊急合同点検」を行い、対策の必要性を確認。地元町内会などを対象にした勉強会も開き、今後の安全対策に向けて、可搬式の「ハンプ」を使って速度抑制効果を検証することとなった。
ハンプは、自動車の速度を抑制するために道路上に設ける台形状の突起のことで、今回の実験では持ち運びできるゴム製の仮設用ハンプを使っている。国土交通省東北地方整備局が提供する「可搬式ハンプ」を使った実験は県内では初めての実施となる。
ハンプの大きさは幅4メートル、長さ6メートルで高さが10センチ。周辺には実験を行っていることを知らせる看板のほか、段差があることスピードを落とすことについて注意する看板も設置している。
今回の実験では、国土交通省が所有している「ETC2.0」を活用。「ETC2.0」は、対応する車載器やカーナビと道路側のアンテナが双方向通信することで運転者支援サービスが受けられるもので、同時に自動車の走行履歴や挙動履歴といったデータを収集できる。実験を通じて日頃の通行車両の挙動を知ることで危険を認知し、これからの対策へつなげていく。
市道路建設課の担当者は「実験の効果を見て今後の本設置についても考えていく。まずは、ハンプがどういうものか知って、こういうものが必要とされている現状を感じてもらいたい」と話し、「運転者は歩行者を守ることが大事。ハンプがなくても安全運転してもらいたい。走りやすいからスピードを出すのではない。実験することで運転者の意識が変わることを願う」と呼び掛ける。
実験は11月30日まで行われる。