防災グッズ専門店「防災ショップ ライノ」(矢巾町)が8月30日にオープンした。
オリジナルの防災バッグは、瞬時に持ち出せるコンパクトさが特徴
岩手県を中心に運送事業を行う「新和」が新事業として立ち上げた。社長の工藤政樹さんは、2011(平成23)年に発生した「東日本大震災」で、被災地へ赴き支援活動を行っていたという。その経験をきっかけに、「自分やスタッフが被災するかもしれない」という考えから、防災士の資格を取得。上級救命講習も受講してきたという。防災グッズの専門店も、「店舗を通じて防災意識を根付かせたい」という思いから開いた。
工藤さんは「震災当時は被災地へ物資を届ける活動に加わっていた。ただ物を置いてくるのではなく、何が必要か聞くこともあったし、こういうものがあったら良いのにと思うこともあった。そういった経験がショップのオープンにもつながっている」と話す。「運送事業を立ち上げた時から、社会や地域に貢献できることを目標にしてきた。運送の機動力と防災の知識で、地域の役に立てれば」とも。
店名の「ライノ」は英語で動物の「サイ」のこと。店のマークにもサイのキャラクターが木の棒を持ったイラストを使い、「棒」と「サイ」で「防災」の意味を込めた。店内には100点を超える防災グッズを取りそろえるほか、オリジナルの防災バッグもプロデュース。バッグの中身は、防災ガイドや居場所を知らせるホイッスル、応急処置に使えるアイテムなど10点以上が入り、瞬時に持ち出せるよう片手で持てる大きさのバッグにまとめた。バッグには厚みがあるため、もしものときに頭を守るのにも使える。
災害のシチュエーションによって必要な防災グッズは変わってくるため、「何をそろえたらいいか」という悩みにも、防災士の資格を生かして相談に乗る。工藤さんは「地震、水害、レジャー、火事など、状況によって役立つグッズもさまざま。まずは備えて、そろえておくということ。準備しておいて何も起きなければそれでいい」と話し、「防災用品と命はてんびんにかけられない。災害が発生したときに『これがあればよかった』ではなく、自分だけではなく周りの人を助けるためにも、使って助かったなと思ってもらうためにも、防災グッズがあるという状況が一番いい。一度足を運んでもらい、相談してもらいたい」と呼び掛ける。
営業時間は10時~18時。