企画展「あやしきものども-江戸の奇譚(きたん)・怪談-」が7月19日、「もりおか歴史文化館」(盛岡市内丸)で始まった。
同展のテーマとなっている「あやし」は、不思議なことや神秘的なこと、変なこと、異様な様子などを表す言葉。同館に収蔵されている盛岡藩の資料の中にも、「あやしい」出来事や存在について記された資料が多くあるという。同展では、そうした資料を「あやしきものども」について記録した資料とし、81点を展示する。
展示を企画するきっかけとなったのが、同展のメイン資料になっている絵巻物「水虎之図(すいこのず)」。全国各地で目撃されたカッパについてまとめられたもので、そこに描かれているカッパについて、さまざまな資料と照らし合わせながら調べているうちに、それらの資料と合わせて企画展にしてみようというアイデアが生まれたという。
学芸員の福島茜さんは「今でこそカッパは妖怪の仲間になっているが、昔は謎の生物として捉えられ、学問的な研究がされ、目撃した、捕獲したという記録も記されている。これは、ただの妖怪の記録ではなくて、当時の人が『あやしい』存在についてどう考えていたかが分かる立派な歴史資料だと思う」と話す。
カッパのほか、「妖狐(ようこ)」や鬼など妖怪的な「あやしさ」についての資料に加え、盛岡藩内での「本当にそのようなことが起きたのか」と「あやしむ」出来事について記された資料も展示。盛岡城下で洪水が発生した際に、水の中に白いひげを生やした老人が立っていたという話や、祟りに関する話などが紹介されている。「八戸市博物館」から借りた「人魚の牙」や「生き物の『玉』」など珍しい資料も並ぶ。
期間中、メイン資料に描かれたカッパにちなんだ企画「キュウリのポイントカード」も実施。同展のチラシに付いているポイントカードに、1回の観覧につき1本の「キュウリスタンプ」を押し、3本集めるとカッパのピンバッチと交換できる。このほかの関連企画として、学芸員によるギャラリートークや講座も予定。「水虎之図」のカッパが描かれたTシャツなどのオリジナルグッズも販売している。
福島さんは「妖怪にまつわる展示は各地で行われているが、盛岡の殿様が集めたコレクションや領内で起きた出来事など、ここでしか見ることができない『あやしい』ものを集めた展示になっている」と話し、「今も昔も、人々があやしい存在について想像を膨らませてきたのは変わらないと思う。昔の人がどんなことを考えていたか楽しみながら見てもらいたい。夏にぴったりなテーマでもあるので、ぜひ足を運んで」と呼び掛ける。
開館時間は9時~19時(入場は18時30分まで)。観覧料は、一般=300円、高校生=200円、小・中学生=100円。9月16日まで。