発掘調査を行う表土の中で回収されたガラス瓶などを展示する「透きとおった記録-ガラスにみる明治・大正・昭和-」が現在、「盛岡市遺跡の学び館」(盛岡市本宮)で開催されている。
盛岡市内にある遺跡(埋蔵文化財)の発掘調査や出土品の収蔵のほか、考古資料の展示などを行う同館。発掘調査を行う表土の中でガラス瓶は比較的よく見つかるが、回収・報告がされるようになったのは平成以降だという。
工業製品でもあるガラス瓶は、生産された日付やどんな商品だったかの記録が残されているものが多く、当時の生活や時代背景を知るための資料になる。そこで、同館で所蔵するガラス瓶を整理してみたところ、十分に展示できる量があり、資料としてもユニークだったことから、ガラス瓶と関連資料を集めたテーマ展を企画した。
今回の展示では、198点の資料と42枚のパネルを展示。展示室入り口付近では、市内で出土した5種類のガラス瓶とガラス瓶を見る時の4つのポイント、色・形・クオリティー・記録を紹介している。
担当者の津嶋知弘さんは「古いガラス瓶はピンクや黄色など、現代ではあまり見ない色や、細かな装飾がされたものも多い。職人の手で作られた瓶もあり、微妙なゆがみや気泡があるのも面白い。年代によって形やラベルが変化している様子にも注目してもらいたい」と話す。
展示の導入部分では牛乳瓶やサイダー瓶など幅広い世代が目にしていた製品、後半部分はビールや薬、化粧品など大人が使っていた瓶を並べ、それぞれの製品にまつわる広告やラベルなどの関連資料も併せて展示。当時の日本の様子や、人々の生活も学べるような工夫を凝らす。関連資料の多くは同館食品が個人で所有するものも多い。携帯電話やスマートフォンでQRコードを読み取って、動画や音声を楽しめるものも用意した。
展示に合わせた学芸講座も開催。6月16日には「近現代のメッセージ」と題し、発掘調査で判明した明治から昭和期の盛岡の生活など近現代考古学に着目した内容、8月25日には、出土したガラス瓶から人々の暮らしの一端を解説する「遺跡のガラス瓶」という内容で実施する。
津嶋さんは「今回の展示は、ガラス瓶から歴史を読み取る要素と、形を鑑賞する要素が組み合わさっている。知識を入れてもらいながら、ガラス瓶を楽しく観察してほしい。昭和生まれの皆さんにとっては懐かしいものも多いと思う」と話し、「こういった展示は初めてで、私たちも調べていて面白く感じていた。皆さんにも楽しんでもらえればうれしい。ぜひ足を運んで」と呼び掛ける。
開館時間は9時~17時(入館は16時30分まで)。入場料は、一般=200円、小中学生=100円。月曜、最終火曜休館。9月23日まで。