葺手町(ふきでちょう)商店会は6月8日・9日の2日間、路上イベント「葺手町市」を開催する。
「葺手町」は現在の「中ノ橋通1丁目」周辺の旧町名で、屋根葺職人が住む町であったことに由来し、現在は飲食店や病院、青果店などが並ぶ商店街としても知られる。
「葺手町市」の企画を考案したのは、同地域に店を構えるそば店「東家」の高橋大さんと、浅沼醤油(しょうゆ)店の浅沼宏一さん。きっかけの一つには、商業施設「ななっく」が閉店するニュースがある。高橋さんは「葺手町の商店街からも近く、人が集まる場所だった『ななっく』がなくなることに危機感を持っている。閉店の知らせは突然で驚いたし、何か明るいニュースを届けたいという思いがあった」と話し、イベントなどを開催することで応援しやすいターゲットを作り、『いい街だね』と共感してもらえる場を作りたい」とも。
一方、浅沼醤油店の直営店「食楽日和(くらびより)」では毎年、「食楽まつり」というイベントを開催。同じ町内でのイベントであることから、別な催しを同時に行おうという考えも以前からあったという。加えて、「ななっく」向かいのバス停にある広場「アレ・ヴェール」で行われている青果や花の販売会「花の市」が、以前は葺手町で開催されていたこともあり、「花の市」を再び葺手町の通りで行う試みもある。商店街各店からの協力もあり、各店による「葺手町商店会」が主体となって行う。
イベント当日は、「カレー工房Chalten(チャルテン)」前から「東家」前までの約30メートルで交通規制を実施し、歩行者天国となる。葺手町商店街からは6店舗、「花の市」からは3店舗が出店し、カレーやワインなど飲食物の販売、「流しわんこそば」といった体験も予定している。「食楽まつり」の会場では、調味料の販売のほかみそ詰め放題やおしょうゆ仕込み体験などが行われる。
浅沼さんは「葺手町は小さな店が集まった商店街で、個人店も多くそれぞれの負担も大きい。こういったイベントに向けた出店は、各店の実験や挑戦の場にもなると思う。交通規制からイベントを作ることも一つのチャレンジだ」と話す。
30メートルほどの小規模での開催には、今後の継続や規模拡大に向けて小さな実績を積み上げたいという意図もある。終了後には商店会メンバーから意見を聞き、前向きな意見は取り入れ、課題は一つずつつぶしながら前に進んでいく。高橋さんは「関わった人が『やってよかった』と思えるのが今回のゴール。こういうことができる、これをやってみたいかという意見が出れば、アイデアを持っている人が主体となって次のイベントにつなげられる。まずは小さな一歩を踏み出したい」と意気込む。
浅沼さんは「葺手町という名前を知らない人も少なくはない。魅力的な店も多い場所なので今回のイベントをきっかけに葺手町を知り、体験してもらいたい」と呼び掛ける。
開催時間は両日9時~16時。