盛岡市鉈屋町で現在、ゲストハウスの開業準備が進んでいる。
ゲストハウスは宿泊施設の一種で、ホテルや旅館などと比べて料金が安く、1つの部屋に複数人が寝泊まりする「ドミトリー」や、宿泊者が利用する共有スペースを設けているのが特徴。盛岡でゲストハウスの開業を目指す小野寺拓二さんは、ワーキングホリデーを利用して滞在したニュージーランドで、日本のゲストハウスに近い「バックパッカーズホステル」という宿泊施設を泊まり歩き、その魅力を感じたという。
小野寺さんは「ゲストハウスやバックパッカーズホステルの一番の魅力は、いろんな人に出会えるところ。年齢や性別、生まれた国も関係なく互いに会話して交流を楽しむ。ほかの宿泊施設ではできない経験ができるのが面白い」と話す。
帰国後、2013年から熊本県にあるゲストハウス「阿蘇び心」に勤務。いずれは独立することを考え、九州や地元の岩手で開業する場所を探していた。その最中に盛岡を訪れ、岩手山が見える風景や街並みを気に入り、盛岡で開業することを決意。今年3月に独立準備に入るため「阿蘇び心」を退職し、4月から岩手に戻って開業の準備を進めてきた。
ゲストハウスの場所は鉈屋町で、蔵として使われていた建物を改装する。現在は、建物の老朽化のためもともと予定されていた修繕工事が行われている。来年7月のオープンを目指し、宿泊に利用できる和室4部屋のほか、多くの人が集まる談話室スペースやキッチンといった共有スペースも設ける。
ゲストハウスのコンセプトは「泊まれるたまり場」。遠くから来た宿泊利用者だけではなく地元の人も気軽に集まり交流を深められる場所を目指し、場所貸しを行う構想もあるという。ゲストハウスのことや盛岡のこと、小野寺さんのことを知ってもらおうと工事の様子や盛岡の街の情報、物件を決めるまでの道のりなどもブログで発信し続ける。
小野寺さんは「イメージとしては、人が集まれる場所に宿泊できる機能が付いている感じ。談話室で一緒にスポーツを見たり、趣味の話をしたり、気軽に立ち寄れるスペースになればうれしい」と話し、「宿の役割として、盛岡好きを増やしたい思いもある。市外・県外から来た皆さんに魅力を伝えるのはもちろんだが、地元の皆さんも外から来た人と話すことで盛岡の街について再発見があるはず。盛岡の良いところを教えに来てもらえれば」と呼び掛ける。