「レンタル菓子工房utakane(うたかね)」(雫石町)が11月4日、オープンする。
同施設は菓子製造業の営業許可を有する加工場を一般向けに貸し出す会員制の工房。生産した農産物を加工し6次産業化を目指す農家や食品の製造販売を目指す人に自由に使える工房を提供し、その挑戦を応援しようという思いで今年の春から準備を進めてきた。
施設は企業の事務所兼倉庫として使われてきた建物をリノベーション。4月には広く工房をPRしようとワークショップ形式のイベントを開いて内装のリノベーションを行い、延べ50人が参加した。その後、フェイスブックページを通じて情報発信を続けたところ、地域住民からの問い合わせも増えた。8月から9月にかけては実験的に利用してもらおうとモニターを募集したところ、すぐに定員に達し、急きょ枠を増やしたという。
施設を運営する「オフィスSUGOROKU」代表の渡辺和義さんは「地域にもない初めての事業だったので、運営する私たちも手探り状態。『こういう設備や道具があった方が良い』という声を聞きながら少しずつ改善してきた」と話す。「農家の皆さんの利用を想定していたが、趣味を本格化させたいという人や以前店を開いていたという人からの問い合わせが多かったのには驚いたし、喜びもあった」とも。
工房には冷蔵冷凍庫や2口コンロ、オーブンレンジなど家庭の台所にあるようなものから、スチームコンベクション、ラピットチラーといった本格的な設備をそろえ、基本的な調理器具一式も用意する。利用者は材料を持参し、菓子製造業で製造が認められている食品や営業許可が必要でない食品を製造できる。製造したものは、施設が定めたルールに基づき販売することも可能。製造以外にも料理教室の会場などとしても利用できる。
10月7日からプレオープンし、仮の会員登録や見学、利用をスタート。工房の自社製品として、雫石産の食材を使ったクッキー「Bit(ビット)」の販売も試験的に行ってきた。11月のオープンに合わせ本格的な会員登録や利用を開始する。
渡辺さんは「何かやりたい、作りたいと思っている人や、やろうとおもって諦めてしまった人が集まって、その夢を語り、かなえられる場所になればと思っている。誰かの始めたいことを一緒に考えて応援したい。もし、相談先に困っているようであれば気軽に足を運んで」と呼び掛ける。