古い布や浴衣などを細く裂いて織り直す伝統工芸「裂き織」商品を製造する「幸呼来Japan」(盛岡市安倍館)が開発した、段ボール手織り機「DANBOLOOM(ダンボルーム)」が話題となっている。
同社で手織り体験やワークショップを行ったとき、参加者からの「家でもやってみたい」という声が「ダンボルーム」を開発するきっかけとなった。ワークショップなどで使用し、そのまま家に持ち帰ることができる小さな織り機の開発をスタート。ダンボールを使って織物をする手芸の手法があり、それを参考に同社の裂き織職人の意見を踏まえながら開発を進めた。
開発を担当した村山遼太さんは「織物を始める時、一つのハードルとなるのが織り始めるまでの準備。大きな織り機だと糸をかける作業などが大変で慣れるまで難しく、そこで諦めてしまうことが多い。ダンボルームはとにかく簡単に始められること、気軽にできることを重視した」と話す。
「ダンボルーム」は段ボールの本体を組み立て、本体の溝に引っ掛けるようにして縦糸を張り、縦糸の間をシャトルに巻き付けた横糸を往復させていくと織物が出来上がる仕組み。縦糸の幅は2種類で、最大で幅約20センチ、長さ約25センチの織物を作ることがきる。
簡単な構造で子どもから高齢者が使えるように工夫し、本格的な織り機似たような形にこだわってデザインしたという。素材が段ボールのため価格を低く抑えられるほか、使い手が自分の使いやすいようにカスタマイズできるところも特徴となる。
3月ごろから試作品をワークショップで使い始め、使用者の意見を聞き始めるとシンプルさと簡単さが好評を得たという。その後、8月から本格的な販売をスタートすると問い合わせが殺到。高齢者施設や児童施設で利用したいという声も集まっている。織り機は本体と練習用の縦糸・横糸、説明書がセットになったキット形式で販売し、横糸には市販の毛糸などのほか、細く裂いた布が使え、裂き織りを作ることもできる。今後は織り機に使える素材の販売も予定している。
村山さんは「開封してから数分で織り始めることができ、初心者から作家クラスの皆さんまで楽しめるように開発した織り機。より多くの皆さんに知ってもらって、自由な発想で織物に挑戦してみてほしい」と呼び掛ける。
価格は2,138円。インターネットショップのほか、市内のインテリアショップ、書店などでも順次取り扱い予定。