盛岡城跡公園(盛岡市内丸)三ノ丸にあるクマノミズキの木にニホンミツバチが巣を作り、盛岡市では温かい見守りを呼び掛けている。
ニホンミツバチは日本に生息する在来種のミツバチで、木の中の空洞など閉鎖的な空間に巣を作って生活する。日本ではセイヨウミツバチが多くなっているほか、農薬などの影響を受けてニホンミツバチの数は減っているという。今回ニホンミツバチの生息が確認されたクマノミズキには約27リットルの空洞があるとみられ、その中にニホンミツバチが営巣している。
昨年の9月から注意書きを掲示するとともに、ニホンミツバチの防衛範囲が巣穴から半径1.5メートルほどであることから木の周囲2メートルで囲い、貴重な存在であるニホンミツバチを大切にしようという思いで保護と注意を呼び掛けている。越冬のためミツバチの活動が静かになる冬の間は貼り紙とロープを一度撤去し、活動が活発になり始める時期に合わせ今年4月から再び設置した。
貼り紙を掲示した盛岡市公園みどり課の担当者は「ニホンミツバチが暮らしているクマノミズキの木も公園内に3本しかない貴重な木。ミツバチと共に大切にしてもらいたい。ニホンミツバチは基本的に穏やかな性格で、こちらから危害を加えなければ攻撃してくることはない。無理に近づいたり、棒などでつついたりせず、温かく見守ってほしい」と話す。
貼り紙の内容は専門家として「藤原養蜂場」の意見を踏まえて制作している。同養蜂場の藤原誠太さんは「木などに巣を作るニホンミツバチの特徴からすると、昔は盛岡城跡公園の中にもいくつか巣があった可能性はある。ニホンミツバチの数が減っている中、自然に巣を作ってくれること自体素晴らしい」と話し、「自然の生態系を守るためにもニホンミツバチを保護することは非常に重要なことの一つだと考えられる。まずは駆除せずそっとしておくこと、いたずらしないことが大事。静かに見守って」と呼び掛ける。