岩手県環境保健研究センター(盛岡市北飯岡1)は、岩手県内のヒトスジシマカの生息地域をまとめた「ヒトスジシマカ生息リスクマップ」を作成した。
ヒトスジシマカは東南アジア原産の蚊で、背に1本の白いスジがあるのが特徴。地球温暖化などの影響により生息域を北に拡大しつつあり、デング熱やジカ熱などのウイルス性疾患を媒介する危険性がある。県内では2000年ごろに一関市で初めて生息が確認され、2010年には盛岡での定着が確認されている。
同センター地球科学部主任専門研究員の佐藤卓(たかし)さんは「東京でヒトスジシマカによるデング熱が流行したニュースは記憶に新しいと思う。ヒトスジシマカは暖かいところにいるイメージがあり、盛岡にも生息しているということを知らないという人は多い」と話す。
同センターでは2009年から生息分布調査を行い、調査結果と気象データなどを解析してヒトスジシマカの生息確率をまとめた「ヒトスジシマカ生息ポテンシャルマップ」を2014年と2015年に作成。今回は統計モデルの精度をより上げ、過去に生息が確認された地点を含めたヒトスジシマカの生息域を一目で確認できる「生息リスクマップ」としてまとめた。マップはヒトスジシマカの活動シーズンである6月から9月まで月ごとに分けられ、シーズン終盤に差し掛かるほどに生息域を広めていることが確認できる。
ヒトスジシマカは小さな水たまりを好み、植木鉢やバケツ、古いタイヤなどにたまった水に卵を産むため、住宅街でも出会う確率が高いという。
佐藤さんは「発生源となる小さな水たまりを作らないことが繁殖を防ぐ。身の回りのチェックをしてほしい。昨年、盛岡でヒトスジシマカが確認されたのは6月15日なので、まさにこれからがシーズン。虫よけスプレーもこまめに付け直すと効果がある。気を付けて夏のシーズンを過ごして」と呼び掛ける。