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盛岡で石井麻木さん写真展 被災地へ通った6年間の思い伝えて

【3.11からの手紙/音の声】の一角。被災地の光を写した写真が数多く並ぶ

【3.11からの手紙/音の声】の一角。被災地の光を写した写真が数多く並ぶ

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 大通会館リリオ(盛岡市大通1)1階ギャラリーで6月7日から、「石井麻木PHOTO EXHIBITION 【15years】and【3.11からの手紙/音の声】」が開催されている。

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 同展は写真家・石井麻木さんによる写真展。写真家として活動してきた15年間の作品を展示した「【15years】」と、東日本大震災の被災地を撮影し続けたドキュメント写真展「【3.11からの手紙/音の声】」の2つを同時に展開する。

 「【3.11からの手紙/音の声】」は、岩手・宮城・福島の被災3県で撮影した写真約500点の展示。避難所や仮設住宅で生活する地域住民の明るい表情や活気あふれる姿を写したものを中心に、津波や原発事故の影響を受けた被災地の現状を伝える作品が並ぶ。写真には石井さんの言葉が添えられている。

 石井さんが被災地へ入ったのは震災発生から2週間後。支援物資などを届けるため福島県の避難所を回る中で、被災者へ無遠慮にビデオカメラが向けられる様子に出会い、「カメラは暴力になる」と思い撮影は行わず支援を続けてきた。しかし、避難している住民から「写真に撮ってほしい」と声を掛けられたことをきっかけに、その声に応えるため撮影を始めた。以来、毎月11日には被災地へ足を運び、6年間撮影を続けている。

 岩手での開催は今回が初めて。石井さんは「盛岡で写真展をすることは念願だったが、怖い気持ちもある。残してほしいという声もあれば、見たくないという人もいる。正解がない問題だからこそ、岩手の人にどう受け取ってもらえるか不安。テレビなどでは震災の悲惨さや被災者の悲しみなど影の部分を伝えてきたが、暗いことばかりではない。被災地の笑顔や楽しそうな様子など、光の部分をたくさん伝えたい」と話す。

 「【15years】」は震災の写真展を始めてから5年間封印してきた個展を再開したもの。盛岡での開催が最後となる。風景写真と共に、音楽アーティストや俳優らを写した写真約100点を展示。一部作品はオーダー販売も行う。

 石井さんは「震災に終わりはない。笑顔こそ増えたが、今もまだ声に出せない葛藤や悩みを抱えている人は多いと思う。各地の思いを連れてようやく岩手に来ることができた。東北が歩んだ6年間を感じてほしい」と来場を呼び掛ける。

 開催時間は11時~19時(最終日は15時まで)。入場無料。今月13日まで。

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