紫波町の村上製菓(紫波町平沢)で、その年の干支(えと)をかたどった「干支ぱん」の製造が最盛期を迎えている。
同社は1925(大正14)年創業の菓子製造業の老舗。昔ながらの手法を守りながら、「南部駄菓子」の製造を続けている。約半世紀前から神社の参道に出店し、正月に五穀豊穣(ほうじょう)を祈って神様に供える「初飴(はつあめ)」として、初詣の参拝客などに菓子を販売してきた。
「干支ぱん」の製造は1998年の「寅(とら)年」から始まった。お正月にちなんだ菓子を作れないかと考え、以前から力士の形をした「相撲ぱん」などを製造していたこともあり、干支の形をした同商品を思い付いたという。パンのデザインは社内で相談を重ねて考案し、現在では「どうぶつぱん」という名前で、1年を通して全国から人気を集める看板商品となっている。
同社の村上秀紀さんは「その年の干支を選ぶ人もいるが、自分や家族の干支のパンを買っていく人も多い。毎年初詣に来て買うのを楽しみにしてくれている常連の皆さんもいて、長きにわたってご愛顧いただけるのは本当にうれしい」と話す。
来年の干支である酉(とり)にちなんだ「干支ぱん」は、ニワトリの形の「とりぱん」と「ひよこぱん」の2種類。小麦粉に水あめ、砂糖などを混ぜた生地を香ばしく焼き上げたみそ風味のパンで、カラメルで体の模様と顔を描き、目の部分には黒豆を使っている。子どもでも安心して食べられるよう無添加の素材にこだわり、生地の型抜きから絵付けまで職人による手作業で行われる。
同町の産直施設やインターネットショップ、県外のアンテナショップでも取り扱っているが、年明けには盛岡八幡宮や志和稲荷神社などの参道でも販売する。価格は1枚200円、2枚350円。
村上さんは「初飴はお菓子のあめと、空から降る雨を掛けて豊作を祈るもの。2017年も皆さんにとって豊作の年であってほしい。新しい年をおいしい菓子と共に迎えてもらいたい」と呼び掛ける。