もりおか歴史文化館(盛岡市内丸)2階企画展示室で7月31日、「南部鉄器-時代を超えた鐵(くろがね)の美-」が始まった。
南部鉄器は旧盛岡藩である盛岡市と仙台藩である奥州市水沢区で作られている鉄器の総称。それぞれ異なる歴史を持つが、今回は主に盛岡藩で発展してきた南部鉄器について取り上げ、江戸時代から現代までの作品や資料を展示し、今まで受け継がれてきた歴史と伝統について紹介する。
同館学芸員・広報担当の小西治子(はるこ)さんは「国体・大会の開催に合わせて、岩手が誇る文化を紹介する企画展を考えていた。さまざまな案の一つとして出てきたのが南部鉄器。身近なのに意外に知られていない南部鉄器の長い歴史を、市民の皆さんや県内外の人に改めて知ってほしいと思い企画した」と話す。
同展は9月25日までを前期、同29日からを後期とする2期構成。前期では南部鉄器に関わる資料を106点展示。その中で80点ほどが鉄瓶や釜など実物の鉄器となる。鉄器は盛岡藩時代の御用職人や現代まで続く名工を作品の意匠ごとに紹介。前期は夏をテーマにした作品を集め、ハスの花やカエルなどをモチーフにした涼やかな鉄瓶が並ぶ。後期は一部作品を入れ替え、秋をテーマにした作品も並べる予定。南部鉄器の製造工程も紹介し、鋳物師道具や鋳型などを展示している。
小西さんは「南部鉄器は400年前から続く、盛岡の自慢の一品。幾度も技術が失われそうになりながら、時代に合わせて変化を繰り返し、現代まで生活に寄り添ってきた。今を生きる私たちにとっては少し遠い存在かもしれないが、鉄器が持つ魅力を感じてほしい」と呼び掛ける。
開館時間は9時~19時(入場受け付けは18時30分~)。第3火曜休館。観覧料は一般=300円、高校生=200円、小・中学生=100円。11月3日まで。