本の印税を全額、震災の義援金として寄付する試みが岩手県内の作家らによって行われている。
「12の贈り物」(発行=荒蝦夷、仙台市)は、岩手県内の作家12人がそれぞれ自薦の短編集を持ち寄ったアンソロジー。脚本家の道又力さん(盛岡市在住)が編集し、1冊にまとめ上げた。
作品を寄せたのは、長尾宇迦さん、及川和男さん、中津文彦さん、斉藤純さん、石野晶さんら12人で、いずれも県内在住のプロの作家。早く義援金を寄付することから、すでに何らかの形で発表された作品ばかりだが、一部手を加えたものもある。それぞれの作品の冒頭には「作者から」として、震災にまつわるエピソードを添えた。
同企画は軽米町在住の作家、北上秋彦さんが提案し、直木賞作家の高橋克彦さん(盛岡市在住)がまとめる形で実現した。発行日の8月25日には、盛岡市内でのホテルで出版記念パーティーが行われ、関係者やファンなど約240人が訪れた。
会場でインタビューに答えた高橋さんは「これまではバラバラに活動していた県内の作家が、これを機会に一つになった。(この活動を)大事に育てていきたい」と話す。
同書はB6版で448ページ。価格は2,100円。さわや書店、東山堂書店、ジュンク堂盛岡店、丸善など、県内の主な書店ほか、オンラインではビーケーワンで販売する。販売して得た印税は被災地の図書館の復興支援をする遠野文化研究センターに全額寄付する。