若年無業者(ニート)の就業支援を行う「盛岡地域若者サポートステーション(サポステもりおか)」(盛岡市内丸、TEL 019-625-8460)が8月5日、「カフェ de サポステ」を開催した。
同事業は人とのコミュニケーションがうまくとれないなどの理由から無業状態が続く若者を対象に、仕事の現場を学ぶ社会復帰プログラムの一環として行うもの。「接客の現場を学ぶ」などを目的に今年4月から月1回のペースでスタートした。
6回目となる今回は、移動販売業「南部たこう焼」(八幡平市)の指導の下、たこ焼きやパン、コーヒーなどを提供する1日だけのカフェを同公会堂に開設。受講者19人が実際に調理したたこ焼きやコーヒーを「来店者」に提供した。
販売が目的ではないため、材料費をまかなえる程度の寄付金を募る形で「お代をいただいた」受講者らは、やや緊張した面持ちながら、「社会の現場」をかみしめた。
「20代を中心としたニートの人たちは、小学生のころにいじめや家庭内暴力などが原因で人と接することができなくなったケースが圧倒的に多い」と話すのは、同事業を推進する相談員の金山明さん。年間600人の登録者を抱える同ステーションでは、約1割の50人ほどを就職に導いているものの、実際にはもっと多くのニートが「家庭内に確保」されているという。主管する厚生労働省もその実数はつかめていないのが現状だ。
「今回は現在の厳しい就職状況を踏まえて、企業に勤めるだけでなく、自営の道もあることを知ってほしいことから、たこ焼きの販売を体験してもらった」と金山さん。「彼らにも夢はある。でも、それを実現する技術がないだけ。人の気持ちを受け入れられるようになって、社会に旅立ってほしい」とエールを送る。
たこ焼きの技術を指導した吉田荘一さんは「代金をもらえるかどうかは別として、働く喜びを感じてもらえたら」と話す。「積極的になれるかどうかがカギ」とも。
毎週第2水曜に実施する同事業。次回は9月2日の開催を予定する。入場無料。