盛岡の歴史文化施設「もりおか啄木・賢治青春記念館」(盛岡市中ノ橋通1、TEL 019-604-8900)で現在、仮想賢治システム展「ようこそケンジ! コンピュータがつむぐ賢治の世界」が行われている。
同展では、宮澤賢治の顔の映像を投影した「プロジェクター内蔵マネキン」を展示。前に座った人の表情を読み取りながら「注文の多い料理店」を朗読する。画像解析やコンピュータグラフィックスの技術を用い、「仮想賢治」が声のトーンや顔(画像)の表情を変えながら朗読するのが特徴で、朗読時間は約15分。声はコンピューターによる人工音声で、マネキンに投影される宮澤賢治の顔は親族のものを使った。
同技術は、岩手県立大学ソフトウエア情報学部藤田研究室が研究・開発したシステムで、主にまゆや目、口など顔の表情から、喜び、驚き、恐れ、嫌悪、怒り、悲しみの6つの心理状態を分析する。ここでサンプリングして得られた画像情報(参加者の表情)を基に随時更新・改良を重ね、将来的には介護や教育、子育てなどの支援で利用が期待されているという。
「マネキンにはトレードマークの帽子や革靴のほか、当時の世相を反映した和洋折衷の衣装を着せている」と同館の大櫻薫係長。4月下旬からすでに200人ほどが参加しているといい、「少々怖いという感想もいただくが、若い人はもちろん、年配の方も意外に楽しまれている」と話す。
展示時間は11時~16時(閉館は18時)。8月9日まで。同展示の利用は無料。