カフェ「ノイ・バンデ」(盛岡市肴町)が11月5日、肴町商店街で購入した総菜をバンズで挟んで食べる「肴町バーガー」を公式メニューに加えた。
利用客が生み出した平船精肉店のローストチキンと太田屋精肉店のメンチカツをどちらも挟んだ「夢のバーガー」(写真提供=ノイ・バンデ)
同店は8月1日にオープン。宮古市の事業者から仕入れたクジラ肉を使った「くじらバーガー」や、肴町商店街の店舗で販売している食材を使った「肴町ドッグ」などを提供している。
「肴町バーガー」は、肴町商店街で購入した総菜などを同店に持ち込んだ人にバンズを提供し、自分で挟んでもらう形のメニュー。誕生したきっかけは、利用客からの「肴町商店街で買ったものを店で食べたい」という声だった。最初に声をかけたのは出張で盛岡を訪れた人で、商店街で豚カツを購入したものの土砂降りの雨でホテルに戻れなくなり、「おなかがすいているし、ビールも飲みたいので、ここで食べていいか」と聞かれ、店長の級木美子さんが「おいしいうちに食べてほしい」と快諾した。
級木さんは「焼き物や揚げ物のメニューや、肴町商店街で手に入る食材を使ったメニューを増やしたいと考えていたが、店の小さなキッチンでは限界がある。でも、肴町商店街にはそれぞれのプロが作った素材にあふれているので、作れないなら持ってきてもらおうと思い付いた」と話す。持ち込みを受け入れ始めると、「買ってきものをパンに挟んで食べたい」とバンズのみを注文する人が現れたことから、肴町商店街で購入した総菜を持ち込んだ客に限ってバンズの提供する「肴町バーガー」を始めた。
公式メニューには載せない「裏メニュー」のため、持ち込んだ総菜をこっそりと取り出す利用客の姿を見た級木さんは「表に出したら、堂々と、気軽に楽しんでくれるのではないか」と考え、肴町バーガーを公式メニューに掲載。総菜によってはホットドッグ用の長いバンズの方が挟みやすいため、肴町ドッグのバンズを提供する「肴町ドッグNEO」も用意した。トッピング用のチーズとサラダも注文できるようにした。
「肴町バーガー」の具材にお薦めの店として、メニュー表で商店街内の太田屋精肉店や平船精肉店、彩彩などを紹介。各店舗にも相談に行き了承を得た。肴町という名前を使うことを肴町商店街振興組合にも相談すると、「面白い取り組みはどんどんやってほしい」と後押しを受けたという。
公式メニュー化後、利用客からはさまざまなアイデアが飛び出し、挟む具材を買うために初めての店に立ち寄ったという人もいるという。級木さんは「肴町商店街を歩く理由にもしてもらいたい。皆さんだけの夢のバーガーを作り出して」と呼びかける。
価格はバンズとドリンクのセットで500円~。トッピング用のチーズとサラダはセットで100円。営業時間は10時30分~17時。日曜・祝日定休。