学ぶ・知る

盛岡てがみ館で「作人舘」にちなんだ特別展 手紙から見える人柄も感じて

原敬や田中館愛橘の手紙が並ぶ展示ケース

原敬や田中館愛橘の手紙が並ぶ展示ケース

  • 2

  •  

 盛岡てがみ館(盛岡市中ノ橋通1)で現在、特別展「先人たちの手紙~藩校作人舘(さくじんかん)で学んだ人々~」が開催されている。

[広告]

 藩校教育の伝統や精神を現代に伝えることを目的にした「全国藩校サミット」が11月に盛岡で開かれることから、盛岡藩の藩校「作人舘」にちなんだ資料を紹介しようと企画した。盛岡てがみ館は手紙を中心とした資料を収蔵していることから、作人舘で学んだ先人たちの書簡と関連する資料を展示している。

 今回は原敬、田中館愛橘、佐藤昌介、新渡戸仙岳の4人を紹介。原が政治家の鈴木巌に宛てた書簡には選挙のお礼のほか「これからも気を引き締める」といった内容が書かれている。学芸員の中野千恵子さんは「この書簡の内容からは慎重な性格が感じられる。本人は字を書いているうちに斜めになってしまうのを気にしていたそうだが、書簡を見ると確かに斜めになってきているのも分かると思う」と話す。

 田中館の資料としては現在の盛岡城跡公園内に台座だけが残っている「南部利祥中尉銅像」の建立に関する書簡や、ローマ字の普及に取り組んでいた田中館らしいローマ字で書かれた年賀状が並ぶ。札幌農学校に第1期生として入学した佐藤の手紙は、札幌農学校時代の後輩に宛てた励ましの手紙を展示。新渡戸稲造の名前もあり、当時の人間関係が読み取れる。

 戊辰(ぼしん)戦争の影響で休校する前の作人舘に入学していた新渡戸仙岳は書家や郷土史家としても知られる。今回は石川啄木研究家の吉田孤羊(こよう)と孤羊の妻・道子に宛てた手紙などを紹介。作人舘に関係する印が見つかったという手紙からは郷土史家として資料収集をしていた側面が分かる。

 「手紙の内容や筆運びに注目してもらいたい」と中野さん。「書家でもあった新渡戸の手紙と他の3人の手紙を比べると、同じ崩し字でも美しさの違いがあるなと感じられる。田中館の年賀状も一枚のデザインにこだわりが見えるし、佐藤の手紙にも本人の人柄がにじんでいる。手紙からはその人の特徴が見える。4人の手紙の違いを楽しんで」と呼びかける。

 開館時間は9時~18時(入館は17時30分まで)。入館料は一般=200円、高校生=100円、中学生以下と市内在住の65歳以上は無料。第2火曜休館。10月9日~15日は展示入れ替えのため臨時休館。12月9日まで。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース