盛岡中心に店舗を展開する「さわや書店」が12月13日、同店店員が今年読んだお薦め本をランキング形式で紹介する「さわやおすすめベスト2012」をラジオとツイッターで発表した。
10年ほど前から続けて発表しているという同ランキング。今年は12月初旬に選定会が行われ、昨年12月1日から今年11月30日までの1年間に出版された書籍の中から、店員が薦める文芸部門10冊と文庫部門10冊を選定した。
文芸部門1位には「泣きながら、呼んだ人」(加藤元著 小学館)を選んだ。4人の女性を主人公にロンド形式で進んでいく、母と娘をテーマにした書き下ろし小説。「子を思う母の気持ちと、母を思う子の気持ちの全てが詰まっている。男性女性かかわらず、読めば心に引っ掛かる作品」が選定理由だという。
以下、文芸部門ランキング。2位「震える牛」(相場英雄著、小学館)、3位「黄金街」(三田完著、講談社)、4位「火山のふもとで」(松家仁之著、新潮社)、5位「十六夜荘ノート」(古内一絵著、ポプラ社)、6位「海賊と呼ばれた男」(百田尚樹著、講談社)、7位「ふくわらい」(西加奈子著、朝日新聞出版)、8位「築地ファントムホテル」(翔田寛著、講談社)、9位「光降る丘」(熊谷達也著、角川書店)、10位「東京プリズン」(赤坂真理著、河出書房新社)
文芸部門の各賞も選定された。ノンフィクション賞「エンジェルフライト 国際霊柩送還士」(佐々涼子著、集英社)、新人賞「盤上の夜」(宮内悠介著、東京創元社)、時代小説賞「かけおちる」(青山文平著、文藝春秋)。今年は「岩手」にまつわる作品に贈る郷土賞も選定。文芸部門郷土本大賞「幕が上がる」(平田オリザ著、講談社)。文芸部門郷土作家大賞「約束の森」(沢木冬吾著、角川書店)。
文庫部門の1位は「羆撃ち」(久保俊治著、小学館文庫)。北海道の大地で一人羆を追う孤高のハンターと比類無き才能を持つ猟犬フチとの迫力と感動に満ちたノンフィクション。「またぎの生き方から学ぶ、頂いた生命を最後まで全うするということを伝えるメッセージ性のある物語。読みやすく人間も自然の一部と教えてくれる作品」だという。
以下、文庫部門ランキング。2位「マルス・ブルー」(鳴海章著、講談社文庫)、3位「未踏峰」(笹本稜平著、祥伝社文庫)、4位「珈琲屋の人々」(池永陽著、双葉文庫)、5位「美作の風」(今井絵美子著、ハルキ文庫)、6位「諸刃の燕」(多田容子著、集英社文庫)、7位「ダイナー」(平山夢明著、ポプラ文庫)、8位「生きていてもいいかしら日記」(北大路公子著、PHP文庫)、9位「さらば雑司ヶ谷」(樋口毅宏著、新潮文庫)、10位「寂花の雫」(花房観音著、実業之日本社文庫)。
同店本店の店長が選ぶ大池本店店長特別賞は「未亡人読本」(河治和香著、新潮文庫)だった。
フェザン店の田口幹人店長は「年末年始のうち、一日は読書しつつのんびりする時間をとってもらえれば」と話す。
各店では現在、同ランキングを紹介するフリーペーパーを店頭で配布するほか、専用コーナーも設ける。