本年4月に科学研究費助成事業(特別研究促進費)に採択された、創域理工学研究科 国際火災科学専攻の桑名 一徳教授らの研究グループ(以下、『突発科研費大船渡市山林火災研究グループ』という。)が実施する「2025年大船渡市山林火災の総合調査研究」について、約10か月間の調査結果を踏まえ、今般の大船渡市における山林火災の実態等を広く報告するため、大船渡市と連携のもと、下記のとおり、大船渡市現地において報告会を開催いたします。(※オンライン併用)
報道関係の皆様にはぜひご参加いただきたく存じます。また、本報告会は、関係する研究者や一般の方にもご参加いただけます。
令和8年(2026年)1月24日(土)13時30分~16時00分(受付開始13時)
三陸公民館 大ホール(大船渡市三陸町越喜来字前田36-1)
※オンライン併用
突発科研費大船渡市山林火災研究グループ、大船渡市
桑名一徳 東京理科大学大学院 創域理工学研究科 国際火災科学専攻 教授
(1) 開会あいさつ(大船渡市長)
(2) 来賓あいさつ(関係省庁担当者)
(3) 概要説明(研究代表等)
A) 「林野火災時のリスク評価」に関する報告
B) 「市街地側の調査研究」に関する報告
C) 「林野火災が森林生態系の物質循環に与える影響」に関する報告
D) 「林野火災後の山林復興」に関する報告
E) 「林野火災および市街地複合火災からの復興」に関する報告
(4) 市民からの質疑応答
(5) 閉会

「2025年大船渡市山林火災の総合調査研究」現地報告会 各研究内容の代表
2026年1月9日までにフォーム(
https://forms.gle/fs9jk7aLoEBvyVA27)から参加申し込みください(申込必須)。
※報道関係者の方々におかれましては、対面/オンラインにて参加いただけます。
※事前質問も受け付けております。
会場のキャパシティの関係上、対面でのご参加は、大船渡市民及び支援団体等の関係者の方を優先にさせていただきます。
大船渡市HP:
https://www.city.ofunato.iwate.jp/archive/p20251215084130
A:林野火災時のリスク評価モデル確立に資するデータ取得
<A1:出火直後の延焼速度と乾燥条件調査>
八ヶ森(標高261m)の焼損が顕著だったため、ここでの出火直後の延焼速度の詳細な調査を実施し、梅雨開始までに未焼損域可燃物の水分量調査を実施する。
<A2:地形と延焼動態の関係調査>
リアス式海岸特有の複雑地形が延焼加速を引き起こす機構を解明する。
<A3:消防活動の影響評価>
消防活動やヘリコプター散水の効果を調査し、延焼動態との関係を解明する。
<A4:マルチハザードリスクの評価>
大規模林野火災後はマルチハザードリスクの増大が起こり得る。今後の火災・震災・水害・土砂災害などに係るマルチハザードリスクを詳細に調査する。
B:林野火災に対する市街地側の調査研究
<B1:市街地の延焼状況に関する調査>
被災建築物の被害状況の現地調査などで、延焼動態を推定する。
<B2:飛び火状況に関する調査>
発生した火の粉の飛散範囲や飛び火による大規模延焼の実態を解明する。
<B3:消防活動や避難行動に関する調査>
消防活動や避難行動に関する記憶が失われる前に、ヒアリングやアンケートによって当時の行動をデータ化し、後世に記録を残す。
C:林野火災が森林生態系の物質循環に与える影響の解明
<C1:林野火災が斜面・流域スケールの水・土砂移動に与える影響>
焼損後の地表面の撥水性を面的に調査し、衛星画像とUAVによる焼損度分布と比較する。また、焼損域からの水・土砂移動性を評価する。
<C2:焼損地に含まれる様々な元素の定量及び可溶性評価>
炭化残留物や焼損土壌に含まれる元素の可溶性と焼損度の関係を調査し、林野火災の環境インパクトについて解明する。
D:林野火災後の山林復興に必要な科学的根拠の蓄積
<D1:焼損木のモニタリング>
広大な焼損地における伐採・植栽は、地域の労働力を踏まえると優先順位設定(トリアージ)が必要である。焼損木の状態モニタリング、焼損度と植生変化の相関解析を実施する。
<D2:焼損木の利用可能性評価>
焼損木は木材として利用可能である。焼損木を炭素資源と位置づけ、適正を力学・化学特性の両面から総合的に評価する。搬出・利用体制も含めて社会実装の可能性を探る。
E:林野火災および市街地複合火災からの復興に資する社会科学的検討
<E1:市街地の応急・復旧過程に関する調査>
応急・復旧に関係する自治体や関係機関などより、応急・復旧の課題や知見等を収集し、地域防災計画等の改訂の提案を実施する。
<E2:WUI火災に対する市街地の復興の提案>
住民や行政職員からの意見聴取等を通じ、林野火災が市街地に延焼したWUI火災からの復興に関するモデルケースとして構築し、行政に対して、社会科学的見地からの検討結果を共有する。