岩手県立図書館(盛岡市盛岡駅西通)で現在、企画展「世界の平泉へ」が開催されている。
今年6月、世界文化遺産に登録された平泉の文化遺産を記念した同展。遺産を構成する遺跡群とその歴史を同館が所蔵する221点の文献や書籍で紹介する。8月上旬から行われており、9月に入り一部展示の入れ替えを行った。
主要なテーマは「平泉を伝えた人々」。江戸時代に平泉の修理保存を命じた伊達政宗と平泉研究のパイオニアとされる医師の相原友直、その後あらたに歴史的な価値を見いだした明治天皇と当時の視察に随行した国文学者の近藤芳樹らを、保存に貢献したキーパーソンとして紹介する。パネル展示では、保存から世界遺産登録までの道のりを解説する。
「800年にわたり守られてきたのは、遺産の価値を見いだし保存に力を注いだ人がいたからこそ。世界遺産の登録がなされた後は、『私たち』がそれをつないでいく必要がある。この展示を通して、理解を深めるきっかけにしてもらえれば」と企画を担当した同館の千葉美知さん。
「今で言う観光パンフレットもあるくらい、明治や大正時代からすでに観光地化されていた平泉だが、大きな転機は1950(昭和25)年の清衡公らの藤原3代のミイラ(遺体)の調査。中尊寺と朝日新聞が共同で行ったもので、当時はマスコミが大挙して押し寄せ、それが平泉が日本中で知られるきっかけになった」というエピソードも明かす。
開館時間は9時~20時。観覧無料。9月25日まで。雑誌コーナーではミニ企画展として、世界遺産を特集した雑誌を集めた企画も行っている。