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盛岡市先人記念館で「本町かいわい」展 町と店と人の歴史を知って

展示室中央には昔の本町かいわいの写真も

展示室中央には昔の本町かいわいの写真も

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 第19回盛岡の古町名展「本町かいわい その2」が現在、盛岡市先人記念館(盛岡市本宮)で開催されている。

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 盛岡市内の古い地名に焦点を当て、地域の歴史や昔から営業を続ける店、ゆかりある先人たちなどを紹介する同展。。2006(平成18)年度に始まり、2022年度からの2巡目では1巡目で取り上げなかった場所や人物の資料を加えている。

 今回の「本町かいわい」では、現在の本町通に当たる地域を紹介。含まれる旧町名は本町、紙町、八日町、油町、大工町、花屋町、四ツ谷町。展示は町名の由来の解説から始まる。本町は盛岡城の大手先御門に近い場所にあり、「城下の本(もと)」となる町で「本町」となったという。担当学芸員の中村晶子さんは「油町は油を売る商人が、大工町は大工をしている職人が、それぞれ住んでいた。盛岡の町名の多くは住人の職業にちなんでいることから、本町の由来を知らない人もいるかもしれない」と話す。

 町の老舗と歴史としては、明治創業の「宮手薬店」、八日町で「川口荷札店」として店を始めたという現在の「川口印刷工業」、料亭「駒龍」と盛岡芸妓(げいぎ)などについて取り上げる。各店から借り受けた薬の看板や古い荷札、芸妓の写真や道具といった資料を展示。盛岡芸妓はかつて、本町の「本街芸妓」と八幡町の「幡街芸妓」に分かれ、互いにライバルのような関係だったという。駒龍は同名の芸妓が引退後に開いた店で、開業を知らせるはがきや、本人が使っていた小鼓などが並ぶ。

 今月7日に発生した火災で全焼した老舗そば店「橋本屋本店」から提供を受けた資料も展示。紹介用のパネルには夏頃に撮影した外観の写真が使われている。1618年に青森の三戸から盛岡に移り、上の橋の近くに店を構えたことから「橋本屋」としたという。大福帳や古いメニュー表、岩手師範学校の卒業生たちから贈られた感謝状などが並ぶ。

 ゆかりの人物では、盛岡初の女性市議で岩手初の女性県議となった横田チエ、画家の清水七太郎、五味清吉、柔道家の奥田松五郎などを紹介。奥田は盛岡に来る前の経歴に謎が多く、「新選組の生き残り」とうわささされたこともあるという。

 中村さんは「盛岡の中心に近く、本町かいわいにはさまざまな業界からたくさんの人が集まっていたのが分かる。昔ながらの店の歴史などを知り、次に本町通を歩く時の楽しみになれば」と話す。

 開館時間は9時~17時(入館は16時30分まで)。入館料は一般=300円、高校生=200円、小・中学生=100円。月曜、毎月最終火曜休館。11月16日まで。

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