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先人記念館で「新渡戸を知ろうキャンペーン」 姉妹都市交流のきっかけ知って

ケース内には新渡戸稲造の遺品や著書などが並ぶ

ケース内には新渡戸稲造の遺品や著書などが並ぶ

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 盛岡市・ビクトリア市姉妹都市提携40周年記念「キッカケはニトベ! 新渡戸稲造を知ろうキャンペーン」が現在、盛岡市先人記念館(盛岡市本宮)で開かれている。

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 盛岡市とカナダのビクトリア市は1985(昭和60)年に姉妹都市提携を締結し、今年40周年を迎える。両市の交流のきっかけになったのは、盛岡市出身の新渡戸稲造。新渡戸は1933(昭和8)年に国際会議に出席するため、体調が優れない中カナダを訪れた。会議の後にビクトリア市の病院に入院し手術を受けたものの回復せずに亡くなった。この出来事をきっかけに、生誕の地と終焉(しゅうえん)の地という縁から市民間の交流が始まり、姉妹都市提携の締結に至った。

 盛岡市先人記念館では先人の一人として新渡戸を顕彰し、その足跡と業績を紹介する「新渡戸記念室」も常設している。姉妹都市提携が40周年を迎えたことを記念し、交流のきっかけとなった新渡戸について知ってもらおうと、「キッカケはニトベ!」と題したキャンペーンを展開し、5月には新渡戸ゆかりの地を徒歩で巡る講座を開催した。9月13日からは同館1階の季節展示コーナー・油絵コーナーで「国際人・新渡戸稲造の遺品展」を開いている。

 担当学芸員の中浜聖美さんは「新渡戸について、『太平洋の橋とならん』という言葉は知っているけど、どういうことをしたのかは分からない、ビクトリアとの姉妹都市提携のきっかけになっていることも知らないという人も多いと思う。改めて、新渡戸のことやビクトリアとのつながりについて知ってもらいたい」と話す。

 遺品展では、新渡戸が使っていたトランクやステッキといった遺品、著書、書画などを展示。国際人として活躍したことが分かる資料を中心に紹介し、青年時代に米国やドイツで体験したことを短文でまとめた著書「帰雁(きがん)の蘆(あし)」、国際連盟事務次長を辞任した後に早稲田大学で行った7連続公演をまとめた著書「内観外望)」、「夜を憂え国を思う心あればこそ 年を忘れて西に東に」と書いた書画などが並ぶ。

 10月18日には館長講座「いま、改めて新渡戸稲造」を開催。「館長も『新渡戸のことを名前しか知らない人に来てもらいたい』と言って準備中のようだ」と中浜さん。新渡戸の人生をひも解く入門編的な講座になるという。11月3日には館内で新渡戸に関するクイズラリーも行う予定。

 中浜さんは「書画にある『西に東に』という言葉の通り、新渡戸は太平洋の橋になるのが自分の使命として過ごしてきたように感じる。盛岡とビクトリアの架け橋になったことを広く知ってもらいたい」と話す。

 開館時間は9時~17時(入館は16時30分まで)。月曜休館。入館料は一般=300円、高校生=200円、小・中学生=100円。11月16日まで。館長講座は事前の申し込みが必要。定員は40人。9月27日9時から電話で先着順に受け付ける。

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