
戦後80年企画展「[中間報告]占領下の盛岡 接収を受けた一家の暮らし」が9月13日14日、クロステラス盛岡(盛岡市大通3丁目)で開催される。
太平洋戦争の終戦後、連合国軍総司令部(GHQ)の占領下にあり、米軍部隊が進駐していた時期の盛岡について取り上げる同展。企画した中島航さんは市内の旅行会社で働きながら、在野研究者として当時の盛岡における接収住宅について2022年ごろから研究を行っている。市内では米軍将校家族が使う住居として25軒ほどの民間住宅が接収されたという。中島さんの高祖父の自宅もその内の一軒だった。
中島さんが研究を始めたきっかけは、祖父母家にあるアニメキャラクターのようなデザインの4枚の壁画だった。壁画は接収後に暮らした将校家族が、子ども向けに使っていたとみられる部屋に描き残したもので、中島さんの祖父母が35年前に家を建て替える時に絵を切り抜く形で保存し、現在の家の壁に埋め込んだ。中島さんは祖母から壁画についての話や接収当時の話を伝え聞き、接収住宅に興味を持ち、壁画が残る家を拠点に研究と調査を続けている。
企画展は研究の中間報告と位置付け、壁画の写真パネルや接収の通知、返還時の補償調書、英語で書かれた家の間取り図などの資料を展示し、年表や地図を交えながら占領期の盛岡について時系列で取り上げる。
会期中、進駐軍の一員が盛岡に滞在した記録として撮影したカラー写真のパネル展を同時開催するほか、14日にはトークイベントも行う。トークイベントは2部構成で、第1部は会場の「クロステラス盛岡」がある大通3丁目が戦後どのような場所だったかを探る内容で、第2部はGHQによる刀狩りについて触れる。
「戦後80年は、当時を知る世代から話を聞き、語り継いでいくためのぎりぎりのタイミングだと思う」と中島さん。「研究を始めて驚いたのは、若い世代からも反応があること。地元の歴史を知りたいというニーズがあるのではないかと感じている。正しく聞いて、正しく伝えることを続けるために、若い人にも展示に興味を持ってもらえたらうれしい。当時を知る皆さんから、足りない情報を寄せてもらう機会にもなれば」とも話す。
開催時間は10時~18時(14日は17時まで)。トークイベントは14日11時から。入場無料。