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わらび座とヘラルボニーが舞台を共創 宮沢賢治を題材に、8月に盛岡公演

「真昼の星めぐり」に出演する岩手出身の佐藤千明さん

「真昼の星めぐり」に出演する岩手出身の佐藤千明さん

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 秋田を拠点にする劇団「わらび座」による「イーハトーブシアター『真昼の星めぐり』 the Musical」の盛岡公演が8月30日・31日、盛岡市民文化ホール大ホール(盛岡駅西通2)で行われる。

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 同作品は、国内外の障害のある作家のアート作品のライセンス管理や商品化を手がける「ヘラルボニー」(盛岡市開運橋通)と共同で企画制作を行う「イーハトーブシアター」の第1弾。「イーハトーブシアター」は、演劇作品を鑑賞する上で発生するさまざまな境界を超え、全ての人が楽しめる劇場体験の創出を目指すプロジェクトとしている。

 劇団わらび座の理事・小澤威さんは「例えば、障害があって劇場に行くのが難しい、住んでいる場所に劇場がない、小さい子どもが楽しめるか不安、経済的に演劇を鑑賞する余裕がないなど、演劇を鑑賞するにはたくさんの境界線がある。演劇好きの皆さんだけではなく、もっと幅広い人に作品を届けたい」と話す。

 境界を越えるためのパートナーとして、同劇団と同じ東北で「障害のイメージの変容と福祉を起点にした新たな文化の創出」を目指している「ヘラルボニー」にコラボレーションを打診。劇団内にヘラルボニーのファンが多く、「一緒にやってみたい」という声が多かったことも後押しし、作品を共創するプロジェクトを立ち上げた。

 第1弾作品「『真昼の星めぐり』 the Musical」は宮沢賢治を題材に、幼なじみの2人の高校生が不思議の国「イーハトーブ」で大切なものを探す物語。舞台芸術や衣装にヘラルボニーと契約する作家の作品を取り入れる。一部の客席では作品の場面によって色が変化する光るボールを抱えて鑑賞し、観客も舞台の一部となることで客席と舞台との境界をなくす演出も行う。

 出演者には東北出身の役者も出演。北上市出身の佐藤千明さんは「舞台と客席の境目がなくなるというのは私たちも初めてで、ドキドキしている。演劇を見るという体験から、物語の中に一緒にいるという感覚を楽しんでもらいたい」と話す。

 盛岡公演を含め、全国9地域で行う拠点公演では、会場内のアクセシビリティーの充実にも取り組み、4歳から入場可能な「鑑賞マナーゆるめの回」の実施や、字幕タブレット端末の貸し出し、会場周辺のバリアフリーマップの作成、上演中に一時退出して休憩できるリラックスエリアの提供などを行う。

 佐藤さんは「境界をなくす取り組みが、新しい世界に一歩踏み出すきっかけになれば。皆さんと一緒に手を取り合いながらイーハトーブの国をつくり、作品の中を旅したい」と呼びかける。

 チケットは6月3日から、わらび座のオンラインチケットで取り扱う。価格は、S席デジタルアートシート=7,000円、A席バードアイビューシート=5,000円。

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