
第73回企画展「もりおか」が現在、盛岡てがみ館(盛岡市中ノ橋通1)で開催されている。
盛岡市内の名所や店などを紹介した冊子「盛岡市実地明細図」が1894(明治27)年に発行され、昨年で130年を迎えたことから企画した同展。同冊子に掲載されている場所や、企画展の題名にちなんで「盛岡」と付く場所などを関連資料と共に紹介する。
展示の最初に紹介するのは「盛岡郵便電信局」。てがみ館が入居する「プラザおでって」と隣接する「ホテルブライトイン盛岡」がある場所に、かつて郵便局の局舎があったことから、一番に紹介する施設として選んだという。盛岡で郵便の取り扱いが始まったのは1872(明治5)年。現在の肴町に郵便取扱所が開設され、その後、現在の中ノ橋通一丁目に移転した。1889(明治22)年に電信局との合併で「盛岡郵便電信局」と名称を変更したため、「盛岡市実地明細図」では盛岡郵便電信局の名で紹介されている。
担当学芸員の山崎円さんは「ここに郵便局があったということを知らない人も多い。当時の絵はがきや写真を見ると、今も残っている建物があったり、風景が似ていたりするので、『本当にここにあったんだ』と感じてもらいやすいと思う」と話す。
盛岡郵便電信局に続いては、冊子の1ページ目に載っていた「明治橋」「桜山神社」を紹介。明治橋が現在の位置より少し下流に架かっていたことや、桜山神社が現在の北山地区にあったことなどを解説する。
このほか、内丸にあった活版印刷所「九皐堂(きゅうこうどう)」、盛岡高等小学校、岩手尋常中学校、盛岡八幡宮などを取り上げ、同館から歩いて見に行くことができる紺屋町番屋や南昌荘、賜松園(ししょうえん)など現在も残る名所も紹介する。
九皐堂、盛岡高等小学校、岩手尋常中学校に関連する資料では、九皐堂で文選工として働いていたという政治家・田子一民にまつわるエピソード、岩手尋常中学校に通っていた金田一京助と石川啄木、野村胡堂らの手紙や原稿、写真などを展示する。
展示の最後では昔の盛岡の様子が分かる地図や絵はがきを展示。山崎さんは「盛岡に長く住んでいる人でも知らないような場所やエピソードもあると思う。昔のことに触れながら、現在はどうなっているかを比べて楽しんでもらえれば。観光で訪れた皆さんにも、ここから歩いて行ける場所に足を運んでもらえたら」と話す。
開館時間は9時~18時(入館は17時30分まで)。入館料は、一般=200円、高校生=100円、中学生以下と市内在住の65歳以上は無料。第2火曜休館。6月9日まで。