学ぶ・知る

岩手での囲碁将棋の広まりを岩手での囲碁将棋の広まりを

囲碁将棋の資料と共に巨大な詰め碁・詰め将棋の問題が設置された展示室

囲碁将棋の資料と共に巨大な詰め碁・詰め将棋の問題が設置された展示室

  • 1

  •  

 岩手県での囲碁と将棋の広まりや根付きについて取り上げるテーマ展「辿(たど)る~岩手の囲碁将棋」が現在、岩手県立博物館(盛岡市上田)で開催されている。

[広告]

 同展を担当する学芸員は、「将棋好き」の村田雄哉さん。近年、全国的に囲碁や将棋の人気が高まる中、囲碁の外柳是聞(せぶん)五段と将棋の小山怜央四段の2人の岩手出身プロ棋士がいることから、テーマ展を企画したという。

 村田さんは「日本での囲碁や将棋の広まりについては研究が進んでいるが、地方での広まりについてはまだ調べ尽くされていないところがある。岩手の中で囲碁と将棋がどのように広まっていったのか、岩手の囲碁将棋の歴史をたどっていく展示にした」と話す。

 展示は6章構成。1章で囲碁と将棋の始まりと日本への伝来について軽く紹介し、2章~5章は岩手と関連する囲碁・将棋にまつわる資料を展示する。2章では県内で発掘された碁石や将棋の駒について紹介。碁石の中には地鎮の道具と一緒に見つかったものもあり、遊戯だけではなく儀式にも使われていたことが分かる。

 3章では盛岡藩で囲碁や将棋が流行した様子を、囲碁・将棋の家元に関する資料や盛岡藩士の記録から解説。盛岡藩士であった新渡戸稲造の祖父・新渡戸傳(つとう)の日誌には、藩内の情勢などに加えて囲碁に関する記録があり、自身も囲碁を楽しんでいた様子が記されている。日本各地の将棋が強い人についてまとめた「日本将棋力鑑(かがみ)」にも盛岡藩士の名前が見られる。

 4章からは岩手に囲碁と将棋の文化が根付いた近代の様子を取り上げる。将棋好きで知られる柔道家の故三船久蔵さんが自作した駒や、刀匠の山口清房さんの詰め将棋作問ノート、県内各地の消防団に伝わる将棋駒をかたどったまといなどの資料が並び、「碁石海岸」がある大船渡市での囲碁を通じた地域おこしについても触れる。「ファンの皆さんなら、県内で囲碁や将棋が強い人の名前をまとめた人名録や番付表を面白いと思うかも」と村田さん。「『この名前はあの棋士の血縁かな』と思う名前や、皆さんが知っている政治家や実業家の名前もあるので、じっくり読んでみて」と話す。

 外柳五段や小山四段の揮毫(きごう)も展示するほか、床には巨大な詰め碁・詰め将棋の問題も設置。椅子に座ってじっくり考えている人の姿も多いという。村田さんは「遊びという視点だけではなく、民族や考古の分野からも囲碁と将棋に触れ、展示を見た後に実際に遊んでみる入り口にもなれば」と呼びかける。

 開館時間は9時30分~16時30分(最終入館は16時)。入館料は一般=330円、学生=150円、高校生以下無料。月曜休館(休日の場合は翌平日)。3月9日まで。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース