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盛岡の企業が猫用の点滴補助具を開発 飼い主の経験で自宅ケアの充実目指す

前足を出すことで猫の快適さと飼い主の保定しやすさを両立した「ねこずきのおくるみ」(写真提供=クロス・クローバー・ジャパン)

前足を出すことで猫の快適さと飼い主の保定しやすさを両立した「ねこずきのおくるみ」(写真提供=クロス・クローバー・ジャパン)

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 猫用グッズの開発・販売を行う「クロス・クローバー・ジャパン」(盛岡市菜園1)が9月上旬、自宅で猫に皮下点滴をするときの補助具「ねこずきのおくるみ」を一般発売する。

開発に協力した猫社員「ちゃっくん」(写真提供=クロス・クローバー・ジャパン)

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 開発のきっかけは、社長の太野由佳子さんが飼っていた猫「ぽんちゃん」が慢性腎不全を患ったことだった。高齢の猫は腎臓病にかかりやすいとされ、治療で皮下点滴を打つ場合もある。点滴のための定期的な通院は、猫や飼い主の負担にもなる。

 ぽんちゃんは入院治療中に旅立った。「自宅でケアできれば、自宅でみとることができたかもしれない」と太野さん。医師の指導を受け自宅で点滴をする飼い主もいるが、猫の安全を確保しながら体を固定する「保定」が必要。猫が嫌がって暴れることもあり、飼い主が1人で保定することは難しい。

 太野さんは「自宅で皮下点滴をする飼い主の皆さんから、点滴中に猫が動いて針が外れたり、飼い主の手に針が刺さったりすることがあると聞いた。猫が嫌がらず、飼い主が1人でも楽に保定できれば、自宅で治療する選択もできると思い、6年前に開発を始めた」と話す。

 開発には「猫社員」で太野さんの飼い猫の「ちゃっくん」と「あんこさん」が協力。従来の猫用保定グッズとしては猫を中に入れる袋状の物があったため、太野さんも猫の全身を包む形で試作を続ける中、前足だけが袋の外に出る形の失敗作ができた。試しに猫社員に使ってみると、抵抗せずスムーズに保定できたという。他の猫でも試したところ、前足を外に出す方が落ち着いた様子を見せ、飼い主も装着しやすくなったことから服のように着せる形を思い付いた。

 完成した製品は腹巻きやベルトで体を固定しながら、顔と前足、尻尾は自由に動かせる。点滴の針が差しやすいよう肩甲骨部分が開く設計で、背中部分は滑りが良く開閉しやすいファスナーを取り付けた。はっ水性とストレッチ性がある素材を使用し、丸洗いも可能。長い毛がファスナーに絡まりにくい工夫も取り入れる。前足を出す部分はファスナーで閉じることができ、後足側をひもで絞ると袋状になり前足から尻尾まで保定することもできる。製造は久慈市の縫製工場が担当する。

 8月8日に予約受け付けを始めると予想を上回る申し込みがあったという。太野さんは「ぽんちゃんが治療を始めた時、すでに重度の腎機能低下になっていた。こういう商品があることを知ってもらい、猫に多い病気を知ってもらい、早期発見にもつながれば」と話す。

 サイズはS・M・L。価格は2万円。オンラインショップ「nekozukiストア」で取り扱う。

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