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紺屋町番屋の昔と今が一冊の本に 地域の歴史を知り、未来を作る手がかりに

紺屋町番屋のシンボル「火の見やぐら」がデザインされた表紙

紺屋町番屋のシンボル「火の見やぐら」がデザインされた表紙

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 交流・体験施設として利用されている盛岡市の景観重要建造物「紺屋町番屋」(盛岡市紺屋町)と紺屋町の歴史や、番屋改修の道のりなどをまとめた書籍「もりおか紺屋町番屋ものがたり」が7月3日に発刊された。

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 同施設は1891(明治24)年に「盛岡消防よ組番屋」として建築され、1913(大正2)年に「消防組第四部事務所」として改築。2015(平成27)年に町内会や地元消防団による「紺屋町番屋保存・活用委員会」から市へ寄付された。

 2018(平成30年)には景観重要建造物に指定されたが、耐震性の課題や老朽化が進んでいたこともあり、2021年3月から耐震改修工事に着手。施設を活用しながら保存するため、改修後は「ほっぷステップ」が市から建物を借りる形で現在の施設を運営している。

 施設の改修に当たって地域住民から話を聞く中で、「市に寄付する前の保存に向けた活動が大変だった」と聞いた同社の代表社員・岩渕公二さんは、番屋の歴史や保存活動について調べたが、詳細な資料や記録はあまり残されていなかったという。そこで、紺屋町番屋の歴史と保存・活用に向けた取り組みの記録を書籍としてにまとめることにした。岩渕さんは「建物が残っている今、地域の皆さんが、なぜ番屋を後世に残そうとし、どうやって残したのかを記録しなければ、この先、番屋が保存された背景や道のりが分からなくなってしまうだろうと一念発起した」と振り返る。

 書籍は5章構成で、紺屋町の歴史と番屋の成り立ち、町火消や消防団の歴史、番屋の保存に向けた活動、耐震改修工事における苦労や工夫、同町にまつわる人物についてのエピソードなどをまとめる。2022年から制作を始めていたが取材や資料集めが難航し、予想以上に時間がかかったという。

 高層マンションの建築が進む同町については、景観に関する問題が市民の注目を集めている。「紺屋町番屋も景観を守るためにさまざまな工夫をして改修が行われた」と岩渕さん。「景観を守るということは見た目だけではなく、地域の歴史や暮らし、文化を守ることだと思う。街に関わる人がそれらを知った上でどうしていくか考えることが大切。本を作る過程で、紺屋町の歴史に触れたことは、街の未来を作る手がかりになったと感じている。本を通じて、多くの人に紺屋町と番屋に関わる皆さんの思いを知ってもらえたら」と話す。

 A5判、190ページ。価格は2,200円。同施設のほか、東山堂各店、インターネット通販などで販売する。

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