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盛岡・遺跡の学び館で「調査速報」展 身近な場所に眠る歴史を感じて

手前にある「深鉢形土器」は落合遺跡から出土。復元に時間を要し展示開始後に並べたという

手前にある「深鉢形土器」は落合遺跡から出土。復元に時間を要し展示開始後に並べたという

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 盛岡市遺跡の学び館(盛岡市本宮)で現在、第41回埋蔵文化財資料展「盛岡を発掘する~令和5年度調査速報~」が開かれている。

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 同館では毎年、市内の史跡・遺跡の発掘調査の最新の成果を解説する資料展を開催している。2023年度は下米内の落合遺跡、三本柳の百目木(どめき)遺跡、乙部の乙部方八丁(おとべほうはっちょう)遺跡、内丸の国史跡・盛岡城跡の4つの遺跡に加え、2022年度の成果資料展期間中に発掘調査を行っていた手代森遺跡の調査成果と遺物を展示する。

 担当者の杉山一樹さんは「11月まで現地調査を行っていた遺跡もあり、この展示に合わせて遺物の確認や復元を進めてきた。始まる1週間前や、始まった後に並べた資料もあるので、今回の展示は速報中の速報と言える」と話す。

 計313点の展示資料の内、落合遺跡の資料が220点を占める。同遺跡では縄文時代中期~晩期の土器や石器を中心に多くの遺物が出土。「遺物を収めるコンテナが200箱分あった。ここにあるのはほんの一部」と杉山さん。盛岡では手に入らないサメの歯を使ったものや、アスファルトが入った土器も見つかっていることから、「中津川からも近く、河川を使った交易を通じてほかの地域とのネットワーク力が強かったかもしれない、と考えられる」と話す。

 多くの来館者が注目するのが「盛岡城跡」の調査成果展示。三ノ丸地区の石垣解体修復に伴う調査と、本丸地区の遺構確認調査の成果を紹介し、屋根に使われた瓦や家紋が入った軒丸(のきまる)瓦などの遺物が並ぶ。「公園として何気なく利用されているが、盛岡城跡は国指定の史跡。勝手に発掘することはできないが、今度足を運ぶときには、自分の足元に遺物があるかもと思いをはせてほしい」と杉山さんは呼びかける。

 手代森遺跡は2022年度の調査結果になるが、下水道工事に伴う狭い範囲の調査で多くの遺物が出土したことから、作業員らの「結果を見せないのはもったいない」という声で急きょ展示を決定。朱塗りの耳飾りや土器などの遺物42点が並ぶ。

 3月3日13時30分から、落合遺跡、百目木遺跡、乙部方八丁遺跡、国史跡・盛岡城跡の調査を担当した職員による報告会を行う。聴講無料で、定員は60人。電話(019-635-6600)で先着順に参加申し込みを受け付けている。

 杉山さんは「現地で発掘することだけではなく、その後に出土したものを調べたり、復元したりして、報告書をまとめるまでが調査。ここに展示されているものが全てではなく、現在も調査を行っている遺物がたくさんある。身近な場所に眠るものから歴史を感じてもらいたい」と呼びかける。

 開館時間は9時~17時(入館は16時30分まで)。月曜・最終火曜休館。入館料は一般=200円、小・中学生=100円。6月9日まで。

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