「ベアレン醸造所」(盛岡市北山1)が製造するビール「ベアレン シュバルツ」が、ドイツで開催された国際ビールコンクール「Finest Beer Selection(ファイネスト・ビア・セレクション)2023」の国際ビール部門で、「国際ビールオブザイヤー」に選ばれた。
「ファイネスト・ビア・セレクション」は、今回が1回目となるビールの品評会。世界中のテイスティング専門家が、醸造所ごとの哲学や背景、ストーリーを考慮しながら、生産者としてのクオリティーとビールの味わいを総合的に評価する。出品されたビール同士を比較するのではなく、100点満点方式で採点し、90点以上のビールが「ファイネスト・ビア・セレクション」に選出される。
同社はこれまでビールのコンクールに出品したことがない。「どのビールもそれぞれの良さがあり、順位を付けるのは違うと感じていた」と社長の嶌田洋一さん。知人から「新しいコンクールが始まるから出品してみないか」と紹介を受け、評価の方法や「ファイネスト・ビア・セレクション」を選ぶという点に引かれ、初めて出品することを決めた。嶌田さんは「専門家に評価を受けることで学びもある。今後のビール造りに生かせると考えた」と話す。
コンクールには世界18カ国、約200のビール醸造所から880種類のビールが出品。同社からは、ドイツスタイルのラガービール「クラシック」、黒ビールの「シュバルツ」、ピルスナースタイルの「べアレン ザ・デイ トラッドゴールドピルスナー」の3つを出品した。評価の結果、「シュバルツ」が95点を獲得し、国際ビール部門で第1位に当たる「国際ビールオブザイヤー」に輝いた。「べアレン ザ・デイ トラッドゴールドピルスナー」も93点を獲得し、「ファイネスト?ビア?セレクション」に選ばれている。「シュバルツ」については、「日本からのサプライズ」という評価を受けている。
ドイツでの試飲は10月に行われ、同社に結果が伝わったのが11月中旬。知人からも「1位になった」と連絡を受けていた嶌田さんだったが、当初は実感がなかったという。正式に結果が届いたことで、社内でも少しずつよろこびの輪が広がった。嶌田さんは「創業当時からドイツスタイルのクラフトビールを造り続け、本場ドイツのコンクールでこれだけの成績を出せたことで自信がついた。そのビールを日頃から地域の皆さんに飲んでもらえているのが何よりもうれしい。皆さんの誇りになれば」と笑顔を見せる。
ビールだけではなく、同社が製造する微発砲ワイン「OurHour ドライシードル」と「OurHour ゆずシードル」は、シードルのコンクール「フジ・シードル・チャレンジ」で銀賞、「涼海の丘ワイナリー」(野田村)で醸造したワインに炭酸ガスを注入したスパークリングワイン「OurHour 山葡萄(やまぶどう)スパークリングワイン」が、「ジャパン・ワイン・チャレンジ」で金賞を獲得。今年は4つの商品が受賞するめでたい年となった。
嶌田さんは「クラフトビールも、ワインも、シードルも、それぞれたくさん種類がある。おいしいものを選びたい時の基準として、コンクールの結果を生かしてもらえれば。これからも良い品質の製品を、地域密着で届けたい」と意気込む。