滝沢市の市有馬「滝姫(たきひめ)」の子馬の命名式が11月3日、市内の「馬っこパーク・いわて」で行われた。
命名式で武田市長があいさつする後ろでマイペースに草をはむ鈴音
市は、華やかな装束を身に着けた馬が練り歩く伝統行事「チャグチャグ馬コ(うまっこ)」に参加する馬が減少傾向にあることから、市内の馬資源確保を目的に雌の農用馬を所有し、繁殖させ、「チャグチャグ馬コ」に参加する馬の飼育者へ無償譲渡する取り組みを進めている。現在の市有馬「滝姫」は初代市有馬「校伯(こうはく)」の子に当たる。
滝姫は今年の5月22日に第7子を出産。子馬は市が継続所有することとなり、7月に名前の公募を行った。市内・県内のほか、熊本や大阪など全国から417件の応募があり、その中から、5人が考案した「鈴音(すずね)」が選ばれた。
命名式には武田哲市長のほか5人の考案者やチャグチャグ馬コの関係者らが出席。滝姫と鈴音も親子そろって登場した。武田市長は「愛情あふれる名前がたくさん集まった。鈴音という名前からは、やはりチャグチャグ馬コの装束に付いた鈴の音色が連想される。将来はチャグチャグ馬コに参加し鈴の音を響かせてほしい。鈴音の活躍を願っている」と話した。
出席した考案者らは鈴音という名前に込めた意味や鈴音への思いなどについて、「滝沢と言えば、やっぱりチャグ馬。チャグ馬と言えば鈴の音しかないと思った」「立派なチャグチャグ馬コに育ってほしい」「鈴の音を響かせて歩く様子が想像できる名前を付けた」「滝沢を代表する馬になってもらいたい」と話した。
考案者の一人、菊地和夫さんは馬を飼育し、チャグチャグ馬コにも携わる。放牧から戻り、大きく成長した鈴音の姿を見て「あっという間に大きくなった。鈴音は育ちが良い」と笑顔を見せる菊地さん。「鈴音のおばあちゃんの代から見守ってきた関係者として、事故もけがもなく放牧から帰ってくるのはありがたいこと。運が良いことだと思う。まさか自分が考えた名前に決まるとは思っていなかった。考案者としては、もう自分の馬のように愛着を持っている」と喜びを話した。
市では、チャグチャグ馬コの継承などを目的に、ふるさと納税制度を活用したクラウドファンディングを12月6日まで実施。集まった寄付の一部は鈴音や滝姫の飼育にも活用される。鈴音は早ければ来年のチャグチャグ馬コに参加する予定。