原敬記念館(盛岡市本宮4)で現在、第66回企画展「原敬のご先祖様-盛岡藩士・原家の歴史-」が行われている。
原家の祖先が盛岡藩士となってから今年で390年という節目に当たることを記念して企画した。戦国時代から幕末まで、原敬に続く先祖たちの歴史を紹介する。文字資料が多いことから、当主たちをそれぞれキャラクターイラストで表現。イラストは漫画家のあねがわさんが担当し、史実や逸話などを基に親しみあるデザインに仕上げた。
展示は4章構成。1章は、3代盛岡藩主・南部重直が初代・政親へ領地を与えたことを示す「南部重直知行(ちぎょう)宛行(あてがい)状」をはじめ、盛岡藩士としての原家の始まりを示す資料を展示。2章では3代・慶貴が巻き込まれた事件により屋敷などを没収されるも、再興を目指して4代・政芳と共に新田開発に取り組む様子を紹介し、慶貴が再び南部家に召し抱えられたことを示す「盛岡藩家老連署知行宛行状」などが並ぶ。
担当学芸員の田崎農巳さんは4代・政芳を「バイタリティーの人」と表現。「政芳は病による休息が多かったようだが、同時に役人としての公務と新田開発に取り組んできた。逆境にもめげず、原家の再興に貢献した姿は原敬にも通じる部分に感じる」と話す。
3章は、藩主の居住空間である「奥」に仕えた5代・芳忠と、武士として蝦夷(えぞ)地の警備にも派遣された6代・芳武に関連した資料を展示。当時の藩主から芳忠へ宛てた書状、芳武が作成したとみられる「相続勤候傳(そうぞくつとめそうろうつたえ)」などが並ぶ。「相続勤候傳」には「秘書」として7つの守り伝えるべきことが記されているが、その内容は「早寝早起」や「質素倹約」といった生活の心得になっている。
4章では、藩主の家臣として最高位の家老に就任した7代・芳隆と、原敬の父である8代・政中、9代・恭までを紹介。芳隆の功績を示す資料として、盛岡城の大奥改築に関連する書状や、芳隆の日記など展示する。日記の表紙には自身が務めた役職名が書かれている。このほか、恭が芳隆の経歴や逸話をまとめた「原直記伝草稿」といった資料も並ぶ。
田崎さんは「資料が少なく、あまり知られていない当主も多いが、記録からはそれぞれの個性が伝わってくる。全員に共通するのは、時代に応じた能力を身に付け努力を惜しまないという点。そして謙虚さ。それが原敬にもつながっていると感じる。波瀾(はらん)万丈な原家のファミリーヒストリーを楽しんで知ってもらいたい」と呼びかける。
開館時間は9時~17時(最終入館は16時30分)。月曜休館。入館料は、一般=200円、小・中学生=50円。来年1月14日まで。