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岩手県北バスが「ヘラルボニーバス」運行 乗り合いバスの多様性を伝えて

工藤みどりさんによる色鮮やかなアートでラッピングされたバス。ピンク色が目立つデザイン

工藤みどりさんによる色鮮やかなアートでラッピングされたバス。ピンク色が目立つデザイン

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 知的障害のある作家によるアート作品の発信を行う「ヘラルボニー」と、「岩手県北自動車(岩手県北バス)」(盛岡市厨川1)および親会社「みちのりホールディングス」(東京都)が10月10日、ヘラルボニーが契約する作家のアート作品でラッピングした「ヘラルボニーバス」の運行を盛岡で始める。

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 ラッピングバスのアイデアは、ヘラルボニーが取り組む建設現場などの仮囲いに契約作家のアートを飾るプロジェクトから生まれたという。2022年に開業した新盛岡バスセンターの工事中の仮囲いには、アート作品を活用したバスの絵を描いていた。このバスの絵を見ていた人などから「このバスが実際に走ったらどうだろうか」という感想が届き、それを受けた3社が連携して実現に向けて準備を進めてきた。

 今回ラッピングを施したのは、42人乗りの大型バス。仮囲いと同じく工藤みどりさんが手がけた、青や緑、オレンジ、ピンクなどの無数の点が描かれた作品を使った。工藤さんは作品について「青や緑の中に隠れるピンクがお気に入り」と話しているといい、車体の側面にピンクの部分が大きく出るように作品を切り取っている。

 車両は7日に行われた「盛岡バスセンター感謝祭」で一般公開。運行前日の9日にはヘラルボニー副社長の松田文登さんと岩手県北バス社長の松本順さんら関係者による記者会見が開かれた。松田さんは「ハード面を変えることはなかなか難しいが、ソフト面を変化させることはできる。ヘラルボニーバスを通じて、『障害は欠落ではない』ということを伝えること、障害のある人への価値観を変えることができれば。バスに乗っていろんな場所にアクセスできることは、誰にとっても大切なことだと思う」と話した。

 「乗り合いバスは、行き先も目的も異なる人が一緒に移動する。まさに多様性や包摂性を形にしたもの」と松本さん。「乗り合いバスの存在とヘラルボニーの哲学が重なり、生まれたコラボレーション。バスはさまざまな個性を持った人が乗り、一つのコミュニティーとなる。バスを通して、障害のある方への理解につながれば」と話した。

 盛岡バスセンターから沼宮内営業所や松川温泉を結ぶ路線で運行予定。岩手県北バスのバスロケーションシステムで現在地情報が表示される。

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